トランプ米大統領、次の標的は環境問題や風力発電か

トラ01_960ンプ米大統領が1月20日に就任して以来、すでに18本の大統領令(Presidential Decree)が出た。内容は「オバマケアの全面的見直し」「国内パイプラインの建設」「中東7カ国や難民の入国規制」など、一つ一つが物議をかもすものばかりだ。トランプ大統領の近著を翻訳した岩下慶一氏は「次のターゲットは、環境問題や自然エネルギー、特に風力発電だ」と予測する。岩下氏に緊急寄稿してもらった。

結論から言うと、トランプ氏はエコロジー政策をまったく軽視している。いや、軽視というより「反エコロジー」とも言うべき思想の持ち主だ。極端に言えば、世界が過去20年間に積み上げてきた環境活動・エコロジー運動は、少なくともトランプ大統領によって根絶やしにされかねない。

トランプ大統領は地球温暖化問題を「えせ科学」と切って捨てる。オバマ政権によるグリーンビジネスへの補助については「国家的な陰謀」と言い切っている。舌鋒鋭い人物であることは周知の通りだが、ことエコに関する限りその辛辣さは何にも増して厳しい。

トランプ氏は、現在の異常気象の原因は人間による自然破壊だという考えを頭から否定する。その辺りを氏の近著「THE TRUMP – 傷ついたアメリカ、最強の切り札(ワニブックス、筆者訳)」から拾ってみよう。

「米国史上最大の竜巻は1890年代に起きている。最大のハリケーンが起こったのは1860年代と1870年代だ。凶暴な気候変動は今に始まったことではないのだ。人類は過去に氷河期さえ経験している。これらが人間によって引き起こされたとは思えない。」

オバマ前大統領によるグリーン政策に対しては批判どころか暴言の嵐だ。以下は「タフな米国を取り戻せ(筑摩書房)」から抜粋する。

「(オバマ大統領は)米国経済の競争力や民間の雇用の創出は二の次にして、地球温暖化というエセ科学と社会主義的経営を意図的に広めている。」

今や世界の常識である温暖化について、ここまで確信をもって否定できるのはある意味大したものである。当然、代替エネルギーの開発にもかなり否定的だ。

「(代替エネルギー開発の試みは)大きな誤りだ。そもそも再生可能エネルギーの開発は地球の気候変化は二酸化炭素の排出が原因だとする誤った動機から始まっていた。(中略)我々がやっていることは、大金を賭けて環境保護論者を喜ばせているだけなのだ。」(「タフな米国を取り戻せ」)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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