ベルギーの老朽原発2基の即時停止を求めて、ベルギー、ドイツ、オランダの約5万人が6月25日の午後、一斉に手をつなぎ、3カ国90kmにわたる「人間の鎖」ができた。2基の原発では2012年来、圧力容器に多数のひびが発見され、近隣諸国の自治体が共同で提訴した。これらの自治体の住民や政治家が「人間の鎖」を主催したが、ベルギー政府は国内に2カ所7基ある原発の早期停止には応じておらず、対立が鮮明になっている。(ベルギー リエージュ=川崎 陽子)

山沿いの鎖(筆者撮影)
ベルギー国境に近いドイツのアーヘン市と周辺の自治体では、「STOP THIANGE&DOEL=ストップ ティアンジュとドール(ベルギーの2基の原発名)」と書いた黄色いステッカーを貼った車、自転車、商店や家々の窓を多く見かける。
これらの原発では2012年来、合計1万6000のひびが見つかったが、原因は不明のままだ。(関連記事:https://www.alterna.co.jp/11174)ドイツの自治体連合や2つの連邦州、オランダやルクセンブルクの自治体は、完全に安全確認されるまでのティアンジュ原発2号機停止を求めて提訴している。(関連記事:https://www.alterna.co.jp/18209)
今年にはいってからは、訴訟中の自治体の役所に「6月25日、ティアンジュ原発停止を求める90kmの人間の鎖に参加しよう」というポスターが貼られ、参加申し込み用のハガキやチラシが配布されるようになった。ドイツ、オランダ、ベルギーの反原発市民団体共同の「人間の鎖」というアクションがスタートしたからだ。
欧州から主にドイツ語圏の情報、基本的人権を脅かす放射線被ばく問題を発信。専門分野の通訳・翻訳にも従事。
横浜国立大学卒業後、日本企業研究職、米国企業技術職を経てドイツに留学。アーヘン工科大学で応用工学修士(環境学・労働安全)修了。
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