[Sustainablebrands.comから転載]
第一生命は先月、投資収益を獲得しながら社会・環境的な課題解決を目指す「インパクト投資」を開始したと発表した。同社は今回、国内のベンチャー企業2社に14億円を投資。インパクト投資は世界的に急速に伸びているが、日本の機関投資家による非上場企業への投資事例はまだ少ない。第一生命がインパクト投資に参入した背景や課題について、同社運用企画部の竹内直人・運用調査室長に話を聞いた。(オルタナ編集部=小松遥香)
インパクト投資参入の背景
――今回、非上場企業へのインパクト投資を開始した背景をお聞かせください。
竹内:今期から、ESG投資をより体系立てて進めていくことを決めました。
私たちは元々、業界の中でも、ESG投資とESGインテグレーション(投資プロセスへのESG要素の組み込み)に力を入れています。国際開発金融機関などの発行する社会貢献型債権への投資は、2014年から実施しています。
そうした流れの中で、現在、国内外においてインパクト投資が注目されるようになっていることもあり、第一生命でもインパクト投資を「運用収益の獲得と社会の構造変化などをもたらす社会的インパクトの創出の両立を意図して投資判断を行うもの」と定義し、着手しました。
――第一生命のインパクト投資を含むESG投資の方針はどのようなものでしょうか。
竹内:「社会的課題の解決と収益性の両立」を方針に掲げています。
やはり資産運用である以上は、保険契約者の方々に約束している利回りと責任があります。収益性の確保が、ESG投資の前提条件となります。その上で、第一生命グループの社会貢献活動の重点取り組みテーマである「環境の保全」「豊かな次世代社会の創造」「健康の増進」に関連する案件に投資するようにしています。
――今回、カンボジアやミャンマーなどでマイクロファイナンス事業を展開する五常・アンド・カンパニー(東京・渋谷)に4億円、新世代バイオ素材を開発するSpiber(スパイバー:山形・鶴岡市)に10憶円を投資しました。どのように2社を選んだのでしょうか。選定基準はありますか。