[Sustainablebrands.comから転載]
サステナブル・オフィサーズ 第20回
Interviewee
立石文雄 オムロン会長
Interviewer
森 摂 オルタナ編集長/サステナブル・ブランド国際会議総合プロデューサー
普通の企業は「顧客ニーズ」に応えることを目指すが、オムロンは「社会ニーズ」に応えることを目指してきた。この違いは、創業以来、同社の経営陣が常に事業と社会との関係性を考えてきたことに端を発する。さらには、サステナビリティ(持続可能性)と事業収益の両方を追うことを鮮明にし、役員の評価軸にもサステナビリティを取り入れた。その意図はどこにあるのか、立石文雄会長に聞いた。
根底にあるのはソーシャル性
――オムロンが2015年に改定した企業理念の「私たちが大切にする価値観」に「ソーシャルニーズの創造」という言葉が出てきます。一般的に企業では「顧客ニーズ」という言葉を使うことが多いですが、なぜ「ソーシャル」とされたのですか。
立石:その思いは創業者(立石一真氏)の生い立ちに遡ります。創業者は1900年に熊本で生まれ、小学校1年生で父を亡くし、5年生のころから新聞配達で母と弟を養いました。配達先の地域の人との温かい交流を体験しています。