「オルタナ式英単語術」(4) dip,spat,feud

11月の「英単語」は、アメリカ中間選挙関連からです。

1) dip
dipは野菜などの「ディップ」でおなじみですね。「ちょっと浸す」という意味合いですが、時事ニュースに登場するときは「(数字が)落ちる、下がる」という意味で用いられます。

Dollar dips after midterm election splits power in US Congress
(11月6日)
 中間選挙で議会の分裂、ドル下落。   
https://www.cnbc.com/2018/11/07/forex-markets-dollar-us-midterm-elections-in-focus.html
この英文では、似たような意味を持つdip(take a dip)とsinkが並んでいますが、sinkは「じりじりと下がる」イメージがあります。

名詞でも同じような意味です。
The price of oil takes a dip, shares in Bombardier sink
(11月8日)
 原油価格が下落、ボンバルディア株も低落。
https://www.citynews1130.com/video/2018/11/08/the-price-of-oil-takes-a-dip-shares-in-bombardier-sink/
dipという単語を用いることで「求人数はちょっと減ったが、たいしたことはない」ニュアンスを持たせています。意味内容は同じでも、単語によって印象が変わることに注目しましょう。

2) spat
Trump-Acosta spat leads to reporter being barred from WH
(11月8日)
 トランプ対CNNアコスタ記者のいざこざ、ホワイトハウス入庁許可証を無効に。
https://onenewsnow.com/media/2018/11/08/trump-acosta-spat-leads-to-reporter-being-barred-from-wh
barは「出入りを禁じる、除外する」。「横木」が語源です。法廷のことをbarといいますが、これも同じ語源から。ちなみにいわゆる「バー」(酒場)も同じ「横木」からきています。

spatは外交(摩擦)の文脈で用いられることも多いです。
Abe to bring business leaders to Beijing amid US trade spat
(11月21日)
 米中貿易摩擦のさなか、安倍首相が企業トップ同行させ訪中へ
https://www.seattletimes.com/business/abe-to-bring-business-leaders-to-beijing-amid-us-trade-spat/

Walmart sues Synchrony for $800M in a nasty breakup spat
(11月3日)
ウォルマート、契約違反を理由にシンクロニーを提訴。8億ドルの支払いを求める
両社は契約延長交渉が決裂してもめていますが、nasty breakup spatという表現から、泥沼なイメージが伝わります。
https://www.bizjournals.com/newyork/news/2018/11/02/walmart-sues-synchrony-for-800m-in-a-nasty-breakup.html

aishima

相島 淑美(神戸学院大学経営学部准教授)

日本経済新聞記者、清泉女子大学英文学科教員を経て現職。翻訳家。鈴木淑美名義でJFK伝記など20数冊の訳書がある。 博士(先端マネジメント、関西学院大学)、MBA(関西学院大学)、修士(文学、慶應義塾大学)。文化・文学の視点から日本のマーケティング、SDGs、エシカル消費について研究している。執筆記事一覧

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