11月中旬以来、パリの凱旋門周辺では毎週のように「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動のデモが繰り広げられています。その様子は日本のテレビでも繰り返し流されました。
黄色いベスト運動は、フランス政府が来年1月にガソリンや軽油に対する燃料税を増税すると発表したことに対して、怒りの声を上げた市民を中心に拡大しました。マクロン政権が富裕税を廃止したことも、「金持ち優遇」だとして火に油を注ぎました。
仏経済学者のトマ・ピケティはル・モンド紙に連載している英文ブログで「マクロンが任期を全うしたいなら富裕税を復活させ、貧困層に再分配すべき」と書きました(12月11日付け「黄色いベスト運動と税の正義」)。
12月8日には、その「黄色いベスト」とは別に、「気候変動対策の推進」を訴えるグループが新たなデモを始めました。
ポーランドで開催中の「気候変動枠組条約締約国会議」(COP24)に合わせたもので、パリでは2万5千人が参加しました。一部の黄色いベストも混じり、「気候変動も社会的な闘いも根は同じ」と訴え、少数の富裕層が温暖効果ガスの半分を出していると批判しました。
相反勢力と見られていた「黄色いベスト」と環境保護派が手を結んだことで、マクロン政権への批判はより強まりました。(「仏で気候変動デモ、黄色いベストも混じり富裕層批判」パリ・羽生のり子)
そんな中、マクロン大統領が『(ガソリンを買うお金がなければ)電気自動車を買えばいい』という発言も話題になりました。フランス革命で処刑されたマリー・アントワネット王妃の「パンがなければお菓子を食べればいい」を思い起こさせたのです。