25年万博概要は次のとおりである。
・政府は25年万博の経済効果を全国で約2兆円と試算。
・150カ国の参加を見込み、5月3日~11月3日の185日間で国内外から約2800万人の来場を想定
・会場建設費は約1250億円
・会場は大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)、ここではカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業も予定
25年万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、Society5.0、つまり、AIをはじめバーチャルとリアルが交錯する未来社会への実験場となろう。
大阪のもう一つのランドマーク、道頓堀はインバウンドの旅行者でごった返し、万博決定の時の歓声も話題になった。道頓堀周辺は極彩色の広告宣伝ネオンや飲食店の巨大なカニ・牛などあらゆるオブジェが並ぶ強烈な発信で圧倒される。「くいだおれ」も商都大阪の一つの顔である。
これに対し大阪北部のモダンな顔、大阪城公園や万博公園もある。多様性と商いがイノベーションを生む。

■大阪万博はSDGsの「自由演技」の場
万博に向けて色々準備が必要だが、何よりも政府が約束した、万博実施に向けたSDGsとの関連付けを深めるべきだ。
特にSDGs目標9「レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」と目標17が主軸ですべての目標実現を図る。今回の万博のテーマでは目標3の健康への貢献が強調されている。

今、世界ではSDGsへの対応が加速化している。グローバル企業の多くは、SDGsを共通言語として活用しビジネスチャンスを生み出す一方、社会・環境リスクを回避するなど、経済価値と社会価値を同時に獲得する「共有価値の創造」(CSV : Creating Shared Value)を実践している。SDGsに対応しなければ世界の流れに取り残されてしまう時代になった。
もはや企業や自治体にとって、国連で定められたSDGsに取り組むことは、マルチステークホルダーに的確に対処するための必須要件となった。プレーヤー(経済主体)の演技に例えれば、いわば〝規定演技〟と捉えてよいのではないか。今後は、それぞれが独自性のある〝自由演技〟、つまりさらに良くするためにどうするかといった新たなSDGsに向けて、どう向き合っていくかが問われる時代だ。
大阪万博は日本企業の「サステナブル・ブランドSDGs」の自由演技の場としてアピールできる絶好の場であり、「太陽の塔」の時代とは全く違う「SDGsレガシー」をつくり2030年に突き抜けていくチャンスの到来である。
