緊急連載■バイオマス発電の限界と可能性(上)

■環境団体がバイオマスで共同宣言

バイオマス発電のリスクについては、気候変動や森林保全に取り組む環境団体が2019年7月16日、制度の問題点を見事に突いた共同提言を発表した。

提言は、次の8項目である。

  1. 温室効果ガス(GHG)の排出を十分かつ確実に削減していること
  2. 森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと
  3. パーム油などの植物油を用いないこと
  4. 人権侵害を伴っていないこと
  5. 食料との競合が回避できていること
  6. 汚染物質の拡散を伴わないこと
  7. 環境影響評価が実施され、地域住民への十分な説明の上での合意を取得していること
  8. 透明性とトレーサビリティが確保されていること

この提言の中で指摘されている事柄を検討することなく発電所を建設するケースが、後を絶たない。環境にやさしいはずのバイオマス発電による環境破壊が懸念される。

 

注1:FITは自然エネルギーを助成するための制度で、再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間国の決めた価格で買い取ることを電気事業者に義務付けている。電気事業者の買い取り費用は、電気料金に上乗せされた「再エネ賦課金」によってまかなわれる。

注2:ちくりん舎資料「2019.2.10-11 学習交流集会 in 郡山報告集」より

環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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キーワード: #バイオマス発電

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