太陽光と風力、水素をエネルギー源にしたボートで世界の海を5年かけて就航し、各地で海洋プラスチックごみ問題の調査・啓発活動を進める取り組みがある。スイスのレース・フォー・ウォーター財団が進めるオデッセイプロジェクトだ。同財団理事のグンター・パウリ氏は31日都内で講演し、「海洋プラスチック問題の解決に向け、テクノロジーの革新とともに事業として取り組むビジネスモデルが必要。産業界の役割は大きい」と指摘した。(オルタナ編集部=堀理雄)

ボートは約40平米の大きなタコを上げ、風力で推進する仕組み。タコはAIで自動制御されており、平均時速約7.5キロの速度だ。甲板に特殊な太陽光パネルを敷き詰めて電力を供給。その電力で海水を電気分解し、水素を生成して燃料電池に貯蔵している。
同財団は2015年にも、船で大西洋、太平洋、インド洋をめぐり、本格的な海洋調査を実施。近隣の島への環境汚染の実態も調査している。
今回のオデッセイ号は2017年にスタートし5年かけて世界を回り、日本へは2020年4月に寄港する予定だ。同財団と環境NPOゼリ・ジャパンは今年2月に連携協定を締結。寄港に合わせて研究者、企業、団体とともにプラスチックの社会課題に関する取り組みや子どもたちのための教育プログラムの実施などを計画している。