論説コラムー廃棄物新時代、「処理」から「循環」へ

日本最大のファッションとデザイン合同展示会rooms39が9月上旬、五反田で華々しく開かれた。新コンセプトエリア「エシカルエリア」を立ち上げるなど注目を浴びている主催者のアッシュ・ペー・フランスだが、今回は何とSDGsやESGの社会的関心の高まりを受け、多角的なエシカル、サステナブルというコンセプトを前面に押し出していて驚いた。いわく「クリエーションの力で創造的に地球環境や社会をよりよくする仕組みを提案します」。

時代はここまで来ているのである。象徴的なのはナカダイホールディングス傘下のモノファクトリーとの連携だ。展示会は規模が大きく一過性のため大量の廃棄物を生む宿命にあるが、今回からは「廃棄物の面から展示会の在り方を変え、新しい時代のひな形を作りたい」と意欲的だった。

既に会場に敷くパンチ・カーペットについては2015年からサーマルリサイクルとしてRPF(リサイクル固形燃料)化し燃料として使用。これまでに毎回3千キロ以上、合計で28,110㌔を完全リサイクルしてきた。

今回以降、その他の一般ごみを含め100%のリサイクルを目指すことにしたのだという。今年はまず、どんな廃棄物がどれくらい出て、どこで処理されたのか情報収集から始めているが、先が楽しみである。

モノファクトリーは興味深い会社だ。同じくナカダイホールディングス傘下のナカダイが1937年、鉄やスクラップの卸売業として創業されたが、2013年からは「捨てる」と「使う」をつなぐ会社に生まれ変わった。

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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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キーワード: #リサイクル

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