(2)現在使用中の機器に対する課題と対応
現在使われている業務用機器の大多数は、HFCとHCFC(R22)を使用しています。機器の使用年数は20年〜30年であるため、整備時には冷媒の補充が必要です。
キガリ改正に伴い、2019年1月からフロン製造をする各社に国からはGWP(温室効果)トン数による生産が割り当てられました。
フロンメーカーは、GWP値の高いR404A( GWP値:3,920)やR410A(同2,090)を減らすことになるでしょう。R404Aは低温向けの冷媒であるため、低温倉庫やショーケース向けに使われています。
R410Aはビルマルチエアコンやパッケージエアコンなどの空調機器に主に使われています。それぞれの機器は、冷媒の種類に合わせた設計になっているため、他の種類の冷媒を入れ替えて機器を運転することはできません。
フロン排出抑制法では、機器製造メーカーの許可無しで他の冷媒への入れ替えは禁止されています。
一方、業務用の空調機器、冷凍冷蔵機器に使用されているR22については、2020年から、モントリオール議定書によって新規の生産が中止となります。
R22を使った機器を使い続けることは法的には可能ですが、整備時の補充冷媒については、今後は再生冷媒を使用する必要があります。(冷媒の再生は生産にはあたらないので生産規制には法的に問題ありません)。
以上の経緯から、機器の所有者にとっては、より一層の冷媒管理と漏えい対策が重要となります。所有者は、機器廃棄時の冷媒の確実な回収と、フロン排出抑制法による「定期点検」と「簡易点検」をし、使用時の冷媒漏えい対策をすることが必要です。