ハーブへの恩返し、長野で癒しの宿を建てるまで

株式会社SouGo代表取締役社長 北條 裕子さん

――八寿恵荘は、昨年、第6回グッドライフアワード環境大臣賞の優秀賞を受賞されました。北條さんは東京の印刷会社を経営しておられますが、どのような経緯でカミツレの里や八寿恵荘を運営することになったのでしょうか。

北條さん:SouGoは父の晴久が1949年に東京・中央区につくった会社です。創設以来、「お役に立ちたい」を企業理念として掲げて、環境保全活動に力を入れてきました。たとえば、環境配慮型の印刷にこだわってきました。大豆アレルギーを持つお子さんが印刷物をなめてアレルギー症状が出たという事例を受け、その対応として業界でいち早くライスインクも採用しています。

――高度成長の時代からお父様は環境への配慮を実践されていたのですね。その時代は決して社会の環境意識は高くなかったと思います。

北條さん:父はここの(長野県北安曇郡池田町)近くで生まれて育ったので、自然に対する思いやりがあったと思います。
思い返せば、私も小さい頃から添加物入りの物は極力して食べないなど環境に配慮した生活をさせてもらっていました。父は戦争で亡くなった友人がいたので、健康でいることの大切さや有難さも人一倍感じていたのだと思います。

そんな父でしたが、今から40年ほど前、喉頭がんを患いました。幸いにも完治することが出来たのですが、その時、漢方の薬学の博士との出会いがありまして、漢方治療で完治しました。この博士が研究されていたのが、ジャーマンカモミールでした。

取材で訪れたのは8月末。刈入れ後だったが、こぼれ種のカミツレの花が咲いていた

何か恩返ししたいと考えた父は、これを機に、ヨーロッパなどで古くから重宝されてきたハーブ、カミツレ(カモミール)の力に着目し、1984年に豊富な自然に囲まれたこの土地に、有機栽培のカミツレ畑を開墾し、抽出したカミツレエキスを製造する事業に取り組みました。いまでは、この畑は9000坪にまで広がり、5月中旬から6月上旬には約13万本のカミツレの華が咲き乱れます。

この畑を望める場所にあるのが、祖母の名前から名付けた八寿恵荘ですが、もとは社員の保養所として建てた施設でした。地元住民から、一般向けにも開放してほしいという声を受けて、2005年に湯治の宿泊施設「八寿恵荘」になったのです。

この記事は「ギンザのサエグサ オフィシャルサイト」から転載しました。この続きはこちら

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #オーガニック

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