環境省が主催する「持続可能な開発目標(SDGs)ステークホルダーズ・ミーティング」の11回目会合が、このほど都内で開催された。同ミーティングは、環境側面からSDGsを推進するため、民間企業や自治体、NGOなどの先進事例を共有し、さらなる発展を目指すものだ。今回は、過去に琵琶湖の水質問題を改善し、現在SDGs未来都市に選出されている滋賀県における、県や滋賀銀行の取り組みが紹介された。(オルタナ総研コンサルタント=室井孝之)

同ミーティングは環境省主催、地球環境戦略研究機関(IGES)が共催で2016年から開かれており、今回11回目となる。
琵琶湖では、高度経済成長のよる水質悪化が深刻化し、1977年に大規模な赤潮が発生した。危機感を抱いた住民が、リンや窒素を含まない粉石けんを推奨した「石けん運動」を展開し、滋賀県は79年水質改善条例である「琵琶湖条例」を成立させた。
こうした琵琶湖の環境保全運動も踏まえて滋賀県(三日月大造知事)は2017年1月、SDGsを県政に取り込むことを都道府県で初めて宣言。2019年7月にはSDGs未来都市に選出された。
2020年1月には、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目指す「“しがCO2ネットゼロ”ムーブメント」のキックオフ宣言を行った。
滋賀県総合企画部企画調整課の嶋田宏之副主幹は、「滋賀県には、琵琶湖を健全な姿で次世代に引き継ぐための環境保全活動や、近江商人の『三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)』の精神といったSDGsに通じる思想・歴史・文化が息づいている」と述べた。