■熱帯林の開発圧力となる危険

舞鶴市のパーム油発電は、再生可能エネルギーのバイオマス発電のひとつとして、固定価格買取制度(FIT)の認可を受けており、国が1キロワット時あたり24円で20年間買い取ることになっている。しかしパーム油発電をめぐっては、発電所建設地での問題だけでなく、サプライチェーンの源であるパーム油生産地での環境破壊の懸念も深刻だ。

チョコレートやマーガリン、石けんなどにも広く使われているパーム油は世界で最も消費されている植物油脂であり、その8割がマレーシアやインドネシアで生産されている。生産現場のアブラヤシ農園では、開発による熱帯林や生物多様性の損失、労働者への人権侵害などが大きな問題となってきた。

世界的に問題意識が高まるなかで、熱帯林や生態系を保護し労働者の人権を守ることなどを目的にRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証が発足している。

大量のパーム油を消費するパーム油発電をめぐっては、ノルウェーが公共調達を禁止したほか、EUでも燃料としての利用を減らす方向で方針を打ち出している。日本でも経済産業省資源エネルギー庁が2018年、バイオマス発電の事業計画策定ガイドラインのなかで、FITのパーム油燃料調達を入札制とするとともに、RSPO認証取得を要件とするなど基準が厳格化された。

舞鶴市で計画中のパーム油発電では、年間燃料使用量は12万トンで、日本のパーム油輸入量75万トンの約6分の1にあたる量だ。同市はこの燃料すべてについて、RSPO認証を取得したパーム油を使用すると説明している。

しかし、「RSPO認証を取得しているからといって問題がないわけではない」と指摘するのは、東南アジアの熱帯林保護活動を30年以上続ける市民団体である「ウータン・森と生活を考える会」の石崎雄一郎事務局長だ。

「RSPO認証は2018年11月に、二次林を含む天然林や泥炭地を保護し、農園造成による森林減少を引き起こさない規定に改訂されたが、あくまで新規の農園開発が適用対象で、基準改定以前の農園では森林の農地転換が許容されている部分がある」と石崎さんは説明する。

実際石崎さんが以前訪れたインドネシア・ボルネオ島のあるアブラヤシ農園は、かつて森林だった場所を切り開いて造成され、現地でオランウータンの殺死体を発見した場所だったが、近年親会社が変わってRSPO認証を取得したという。

「さらに問題なのは、発電で莫大な量のパーム油を消費することがパーム油全体の需要を急拡大させ、現地でRSPOの認証を取得していない農園を含めた熱帯林開発の圧力となってしまうことだ」(石崎さん)

■事業・環境リスクも高い

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