電気料金の請求書を見ると「再エネ発電賦課金」という項目がある。その使いみちは「環境に配慮された再生可能エネルギーのため」と私たちは信じて支払っているわけだが、実はそうでないかもしれない。環境NGOによると、この賦課金によって「海外の森林や生態系が破壊されている」という。一体何が起きているのか。(編集委員・栗岡理子)
電気代が海外の森林を破壊する
再エネ発電賦課金は再生可能エネルギーの利用を促進するための費用で、私たちは毎月電気の使用量に応じて、電気代の一部として支払っている。
電気事業者には、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を使って発電された電気を、国が定める価格で一定期間買い取ることが義務付けられているためだ。
これを固定価格買取制度(略称:FIT)と呼び、買い取りに要した費用が、再エネ発電賦課金として電気利用者に転嫁されるのだ。
FITの下、この再エネ発電賦課金はバイオマス発電燃料の買い取りなどに利用される。
現在、再エネ発電賦課金を使って発電されるバイオマス発電燃料は国産のものばかりでなく、外国から輸入されるものも多い。
しかし、これら輸入バイオマスは、輸送時に発生するCO2などの温室効果ガスに加え、調達方法などが適切でないため環境破壊につながっているケースが多々見受けられる。
国際環境NGOのFoEジャパン(東京・板橋)は、この再エネ発電賦課金が「海外の森林や生態系を破壊する原資となっている」と指摘する。
「バイオマス発電に使われる木質ペレットは、多くが北米やベトナムから輸入されている。残材では足りずに天然林を皆伐している事例も報告されている」(満田夏花事務局長)。
なぜ、このようなことが起きるのだろうか。
「カーボンニュートラル」って本当?