■オルタナ本誌61号 「欧州CSR最前線」 から
新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより、 企業活動が制限され、製品やサービスの需要が低迷し、企業は経済的な打撃を受けている。この影響から、サプライチェーン上の脆弱な人々への人権リスクが憂慮されている。コロナ禍においても企業は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権を尊重する責任を果たさなければならないことに変わりはない。
人権侵害を受ける可能性のある人々は、サプライヤーの労働者、女性、子ども、障がい者、高齢者、マイノリティ、先住民族、国内避難民、ホームレス、移民、難民、LGBTI、外国人労働者などの人々である。サプライチェーンへの負の影響の事例として、ミャンマー、カンボジアでは、多くのサプライヤーで、すでに完了した作業の賃金が労働者に支払われず、また作業の中断が起こっている。バングラデシュのサプライヤーに対しては、95%以上のブランドと小売業者が一時的に停止された労働者の賃金、解雇された労働者の退職金の支払いを拒否していると報告されている。
憂慮される人権リスクとして、「サプライチェーン上の労働者の解雇」「労働者の不十分な衛生管理や衛生用品の不足によるコロナの罹患」「差別」「ハラスメント・虐待」「外国人労働者・移民労働者への嫌悪や偏見」などがあげられる。こうした状況を踏まえ、影響下にあるサプライチェーン上の人権リスクを特定し、対応する必要がある。
*この続きは雑誌「オルタナ」61号(第一特集「新型コロナと持続可能性」、6月30日発売)に掲載しています