トラウマ乗り越える力に

ユース・バタフライズの目的は、社会の理解を得ることだけでなく、Tシャツ製作を通じ、元難民の若者を力づけることにもある。若者たちは幼少時から、紛争や内乱などで生まれ育った国が荒廃するのを目の当たりにしてきた。祖国を愛しながらも、後にせざるを得ず、逃避行中は常に生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされてきた。ヨビサンさんとミラードさんは、「製作活動を通して、トラウマを乗り越え、『難民』としてのスティグマを克服・解消してほしい」と考える。
同社は、「ピッチ・ファーム」と名付けたプラットフォームを土台にビジネスアイデアを練り、人材育成を行う。メンター役はエシカルな衣類のブランド「コットンシード」。コットンシードは、難民を含む移民女性を支援する慈善団体が創設・運営している。自分たちの力で未来を切り開こうとする元難民たち─。あと必要なのは、受け入れる私たちの理解と支援以外、何があるだろう。
*雑誌オルタナ54号(2018年9月28日発売)「世界のソーシャルビジネス」から転載