QR付きTシャツで難民の体験を共有

トラウマ乗り越える力に

「ムーン・アンド・スターズ」のTシャツを着るイザダインさん

ユース・バタフライズの目的は、社会の理解を得ることだけでなく、Tシャツ製作を通じ、元難民の若者を力づけることにもある。若者たちは幼少時から、紛争や内乱などで生まれ育った国が荒廃するのを目の当たりにしてきた。祖国を愛しながらも、後にせざるを得ず、逃避行中は常に生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされてきた。ヨビサンさんとミラードさんは、「製作活動を通して、トラウマを乗り越え、『難民』としてのスティグマを克服・解消してほしい」と考える。

同社は、「ピッチ・ファーム」と名付けたプラットフォームを土台にビジネスアイデアを練り、人材育成を行う。メンター役はエシカルな衣類のブランド「コットンシード」。コットンシードは、難民を含む移民女性を支援する慈善団体が創設・運営している。自分たちの力で未来を切り開こうとする元難民たち─。あと必要なのは、受け入れる私たちの理解と支援以外、何があるだろう。

*雑誌オルタナ54号(2018年9月28日発売)「世界のソーシャルビジネス」から転載

mari

クローディアー 真理・ニュージーランド

1998年よりニュージーランド在住。東京での編集者としての経験を生かし、地元日本語月刊誌の編集職を経て、仲間と各種メディアを扱う会社を創設。日本語季刊誌を発行するかたわら、ニュージーランド航空や政府観光局の媒体などに寄稿する。2003年よりフリーランス。得意分野は環境、先住民、移民、動物保護、ビジネス、文化、教育など。近年は他の英語圏の国々の情報も取材・発信する。執筆記事一覧

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