「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」――東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)評議員会でこう発言した。Twitterでは辞任を求める投稿が相次ぎ、4日10時55分時点で「日本のトレンド」3位に入っている。日本は男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」が先進国の中で最低ランクに位置する。ダイバーシティを欠いた組織の欠点は何か。オルタナ61号(2020年6月末発行)で掲載した、村上由美子・OECD東京センター所長の寄稿文を再掲する。村上所長は、多様性はイノベーションの源泉とし、「脱『おじさん』が競争優位」と言い切る。

発言が国内外で波紋を広げている森会長

各国のコロナ対策を見比べると、企業にとって組織づくりの参考になる。特徴的なことは、成功している国のリーダーは女性が多いということだ。ニュージーランドを筆頭に、台湾、ドイツ、フィンランド、アイスランドなどがそうだ。

注目すべき点は、意思決定のプロセスにある。アドバイザーに同一性の高い人を揃えることはなく、様々な視点を持った専門家から平等に意見を聞き、客観的に判断を下す。「聞く耳を持っている」ということに関しては女性の方が長けているのかもしれない。

日本が学べる成功例が台湾だ。早くから入国制限措置をとったことで、国民の立場からすると経済的な損失も少なくないが、納得感はあった。その理由は、政府がエビデンスに基づいたアプローチを取ったからだ。納得感があるからトラストにつながる。

一方、日本はどうだろうか。意思決定のプロセスが不透明で、コロナ対策への国民の納得感は低い。そのため、感染者や死亡者数が低いにも関わらず、政府の支持率は急落した。

新型コロナの教訓は、コロナが起きる前からあった社会の分断がより鮮明になったことだと考えている。米国では黒人差別が表面化し、日本でも貧富の格差が深まった。日本でも暴動が起きないとは限らない。

格差が広がる中で、持続可能な社会をどうつくるべきか。コロナ後は「正解」がない社会に突入する。経験則も生きない。そこでカギになるのは、ダイバーシティに間違いない。私は、「思想のダイバーシティ」と名付けているが、社会全体で、ダイバーシティはイノベーションの源泉であるという認識を共有する必要がある。

多様性なき企業、市場から淘汰

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