ウナギの「豊漁報道」は真っ赤なウソ

【連載】人と魚の明日のために

こちらの記事はオルタナ61号(2020年6月30日発売)に掲載したものです

深刻な資源状態が続き、絶滅危惧種となったニホンウナギの稚魚の漁獲量が、今期は昨期を大幅に上回った。水産庁によると、日本をはじめ中国・台湾等を含めた東アジア全域でのシラスウナギの採捕が好調だったことから、池入れも順調に進み、3月下旬には池入数量が上限まで近づいた。4月末までの国内の池入れ量は20・1㌧で、国が定める上限の21・7㌧に近い。

歴史的な不漁とまでいわれた昨年にはわずか3.6㌧だった国内のシラスウナギの採捕量は、今年は18㌧近くとなる見通しだ。このため千葉県や静岡県のように、前倒しして今年の漁期を終えたケースもあった。

メディアの中には「ウナギ稚魚、今年は豊漁、高騰のかば焼き値下がりも、夏場以降、家計に朗報」とか「ウナギ登り稚魚豊漁、コロナ後手頃な値段で、『取れ過ぎて漁やめた』」といった「豊漁報道」が目立つ。だが、これを豊漁と呼ぶのは大間違いだ。

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ida_tetsuji

井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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