ファッション産業におけるサステナビリティを考える

【連載】多様で健康的なファッションの未来を考える(1)

自然環境や労働環境における問題が多く指摘されているファッション産業。「ファッション」というと縁遠く感じる人もいるかもしれないが「服」「衣類」とは誰もが無関係ではいられない。ファッション産業では現在どのようなことが課題とされており、それに対してどのような動きが生まれているのか。より多くの人が目を向け、議論が促進されることで、変革に向けた流れが生まれるはずだ。(一般社団法人unisteps共同代表=鎌田 安里紗)

一般社団法人unisteps共同代表の鎌田安里紗さん

気候危機の深刻化を受け、各産業で環境負荷低減の取り組みが喫緊の課題となっている。その中でも、ラディカルな変革を求められているのがファッション産業だ。「衣食住」という言葉もあるように、人の生活において欠かせない存在である衣類。だが、食やエネルギーといった分野に比べると、環境問題との関連の中で語られることが少なかったテーマでもある。

近年、有名ブランドの不良在庫の焼却処分や、グローバルアパレル企業の染工場からの河川への有害化学物質の流出など、センセーショナルな問題が明るみに出たこともあり、ファッション産業のネガティブな側面に注目が集まるようになった。

ファッション産業の温室効果ガス排出量は世界全体の8%1、工業用水汚染の20%2が染色と仕上げ加工によるもの、海中のマイクロプラスチックの35%3はポリエステルなどの化学繊維を洗濯したことで海に流れ込んだものとの指摘もある。

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鎌田 安里紗(一般社団法人unisteps共同代表)

一般社団法人unisteps共同代表。衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響を意識する”エシカルファッション”に関する情報発信を積極的に行い、ファッションブランドとのコラボレーションでの製品企画、衣服の生産地を訪ねるスタディ・ツアーの企画などを行っている。暮らしのちいさな実験室Little Life Labを主宰。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。環境省「森里川海プロジェクト」アンバサダー。【連載】多様で健康的なファッションの未来を考える

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