そろそろ気付いてほしい動物に配慮しないリスク

アニマルウェルフェアを自分たちの利益を守るために阻害したかった国内の養鶏大手、しかしアニマルウェルフェアは一つの企業や業界、数名の政治家のために阻害されていいものではない。

ケージ飼育から平飼いに切り替えることで飼料効率は10%前後低下するが、だからといって、私たちの未来に関わる問題なのだから、全員が主体性を持って、この事件から学ばなくてはならない。

加工食品企業、ホテル、レストラン、スーパーなどは、アニマルウェルフェアを含む多岐にわたる畜産リスクに対応することが求められる。特に上場している企業にとっては、投資を得られなくなる可能性もある。

台湾のスーパーマーケット「カルフール」、売り場の一番目立つ場所で平飼い卵を販売

10年後、自分たちがどのような畜産物を調達するのか、またどのくらい植物性タンパク質に置き換えていくのか、目標を定め公表することが必要だ。投資家や消費者は知識をつけて、企業の良い動きを後押ししていくのが役割だろう。

そうすることで、生産者は鶏舎や豚舎をアニマルウェルフェアに対応したものに入れ替え、変化に備えることができる。植物性たんぱく質の開発もより盛んになり、もっとおいしくて安価になり、普及が早まるだろう。変化は誰にとってもチャンスでもある。日本もそろそろこの循環を取り入れたい時期だ。

その兆しは少しづつ出ており、ケージフリー宣言(平飼い卵に移行すると消費者に約束すること)や、大豆ミートなどの商品を取り入れる日本の企業も増えてきた。2021年の企業と消費者、投資家のさらなる動きに期待したい。

chihirookada

岡田 千尋(NPO法人アニマルライツセンター代表理事/オルタナ客員論説委員)

NPO法人アニマルライツセンター代表理事・日本エシカル推進協議会理事。2001年からアニマルライツセンターで調査、戦略立案などを担い、2003年から代表理事を務める。主に畜産動物のアニマルウェルフェア向上や動物性の食品や動物性の衣類素材の削減、ヴィーガンやエシカル消費の普及に取り組んでいる。【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス

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