コーヒーの価値は、「農家の暮らし」も

【連載】フェアトレードシフト

2年前になるが、東京ビッグサイトで、スペシャルティコーヒーの祭典「SCAJ2019」が開催された。15 回目となる本イベントは、コーヒー生産国を含めた25の国と地域、スペシャルティコーヒー関連企業や団体など、300を超える過去最多の出展ブース数で開催され、3日間で約3万4千人が訪れた。

筆者が所属するフェアトレード・ラベル・ジャパンでは、ブラジル、ニカラグアなど14カ国から来日した30人のフェアトレードコーヒー生産者・関係者らとともにブースを出展し、このアジア最大のコーヒーイベントで、フェアトレードコーヒーの魅力発信に挑んだ。

フェアトレード認証コーヒーが市場シェア20%を獲得している国もあるなど、ある程度浸透している欧米各国との比較でみると、世界第3位のコーヒー輸入大国である日本では、フェアトレード認証コーヒーの販売量はわずか0.2%程度だ。

生産者は、日本市場のポテンシャルはとてつもなく大きく見え、同時に、なぜ欧米のような規模になっていないのか不思議でならないと口を揃えて言っていた。

しかし3日間のこの展示会を通し、生産者たちはこの「なぜ」の答えが分かったというのだ。日本のコーヒー市場関係者との会話から、日本の人たちのサステナビリティ全般への関心が薄いということが分かり、フェアトレード市場を日本で広げていくことは簡単ではないことがよく分かったというのだ。

「生活の質のトレードでもある」

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nakajimakaori

中島 佳織(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長)

化学原料メーカー勤務、国際協力NGOでアフリカ難民支援やフェアトレード事業への従事、日系自動車メーカーのケニア法人勤務を経て、2007年より現職。グリーン購入ネットワーク理事。共著に『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』(産業能率大学出版部)など。

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キーワード: #フェアトレード

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