ウォッシュだけではない:企業の「SDGs症候群」

*2月5日正午から有料記事になりました。

編集長コラム

日本でも「SDGs」(持続可能な開発目標)が急速に浸透し、経営や情報発信のツールとして導入する企業も増えてきました。ところが、導入事例が増えるに連れて、SDGsの変な使い方や、誤解・曲解、一人よがりも散見されるようになりました。そんな「SDGs症候群」を解説します。(オルタナ編集長・森 摂)

SDGsウォッシュ

この言葉を聞いたことがある方は多いと思います。ウォッシュとは「塗りたくること」。元々は、グレーなことや組織について、白いペンキで塗りたくって、きれいに見せるという「ホワイト・ウォッシュ」という英語が、「グリーン・ウォッシュ」に転じました。

「グリーン・ウォッシュ」は、環境に優しいと見せかけて、実はそうではないことを指し、すでに20年以上前から使われています。それが「SDGsウォッシュ」に転じたわけです。

つまり、「SDGsで優れた取り組みをしているようで、実はそうではない」という意味です。ちなみに、英語のwashには「メッキ」という意味もあります。メッキは剥がれるものなのです。

SDGs完璧主義

ただ、日本企業は「SDGsウォッシュ」を気にし過ぎるきらいがあります。「どんな取り組みでも100点満点でないと社会に発信しない」という日本企業の気真面目さが、背景にあるようです。

逆に米国や欧州の企業は、今は50点の取り組みでも、堂々と社会や株主に発信し、野心的な目標を掲げるのです。バックキャスティングの発想です。(参考記事:オルタナ15号「バックキャスト経営を考える」)

そもそも、SDGsやサステナビリティ、CSRの取り組みで100点満点の企業など、世界のどこにもありません。もちろんトップランナーはいます。そのトップランナー企業でさえ、社内外に課題を抱えています。課題を正確に把握し、改善していくことこそが「サステナビリティ経営」の真髄です。

SDGs内弁慶

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森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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キーワード: #SDGs

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