今回の異常高騰を受けて、新電力会社の中には、昨年末から1月に掛けて、2000件以上の解約を出したところもある。ハチドリ電力では1月8日に「昨年12月26日から2月28日までの異常高騰分はすべて同社が負担する」と発表していた。損失は1月分だけで、「数千万円」に及んだ。

幸いなことに、解約する人はほとんどおらず、それどころか、契約者から義援金の申し出があったという。地球温暖化という社会課題の解決を志す人たちで成り立っているからこその「コミュニティの力」だ。

だが、現実はそう甘くはない。固定価格にすることで、収支は当然厳しくなる。新電力が固定価格に取り組めない要因は、黒字化するまで長期的に赤字を出し続けるからだ。株主からの反対も起きるだろう。

では、なぜハチドリ電力が取り組めるのか。それは、外部資本が入っていないボーダレス・ジャパンのパーパスが大きく影響しているからに違いない。同社は、社会起業家のプラットフォームを掲げている。

現在、ハチドリ電力以外にも貧困や難民問題など様々な社会課題を解決する事業を38種類展開している。事業ごとに社長がおり、38社からなる「社会起業家連合」だ。

起業家は事業に専念できるように、マーケティングからデザイン、総務、経理などの業務をバックオフィスメンバーが手伝う。さらに、ボーダレス・ジャパンから資金も出資する。

すべての会社がボーダレスグループの100%出資で成り立っており、各社の余剰利益は新たな事業の立ち上げ資金に使われる。株主への配当は一切行わない仕組みになっている。

そこには、いわゆる親会社・子会社のような支配関係はない。「お金も人もノウハウもみんなで共有し合うことで、みんなでいい社会をつくっていくという助け合いの関係を大切にしている」と話す。今回、固定価格プランを決められたのも、このような独特の組織だからこそだ。

田口社長は今後の構想について次のように語る。

「できる限り環境負荷の少ない自然エネルギーの発電を増やしていくことが大切。これから各家庭やオフィスの屋根に太陽光パネルを設置するプランを考えていて、近日中にリリースする予定です。農業との共生型のソーラーシェアリングについても準備を進めています。地球温暖化を抑えるために、できる限り環境負荷の少ない自然エネルギー発電所を増やすことにもしっかりコミットしていきます」

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