190兆円の経済効果、「グリーン成長戦略」とは

政府が重視する環境投資としては、カーボンニュートラル社会に不可欠で産業競争力の基盤となる①電力のグリーン化+電化、②熱・電力分野の水素化、③CO2固定・再利用の分野に挑戦する企業を支援する――の3つがあります。

具体的には、次世代太陽光発電、低コストの蓄電池、洋上風力、水素、カーボンリサイクルなどで、グリーン成長戦略の実行計画と連動しています。

政府は、2050年カーボンニュートラルは極めて困難な課題であり、これまで以上に野心的なイノベーションへの挑戦が必要との認識を示しています。

特に重要なプロジェクトについては、官民で野心的かつ具体的目標を共有した上で、目標達成に挑戦することをコミットした企業に対して、技術開発から実証・社会実装まで一気通貫で支援を実施していく方針です。

プロジェクトを採択される企業は、採択時において、経営者トップのコミットメントの下、当該分野における長期的な事業戦略ビジョン(10年間のイノベーション計画や経営者直結のチームの組成等)の提出を行う必要があります。

経営者自身に対しても、経営課題としての優先順位を明確化させ、プロジェクト成功のための議論をする場への定期的な参画を求めます。

これら経営者のコミットを求める仕掛けを作ることにより、政府の2兆円の予算を呼び水として、民間企業の研究 開発・設備投資、野心的なイノベーションへと触発していきます。

3000兆円とも言われる世界のESG環境投資を呼び込むため金融市場の枠組みも作られる予定です。

政府は「グリーン成長戦略」を実現することで、2050年には年190兆円の経済効果と大きな雇用創出を見込んでいます。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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