最先端科学が育む宗教的情操

【連載】オルタナティブの風

21世紀、科学こそが、我々の心の中に、最も深い宗教的情操を育んでいくのではないだろうか。

例えば、現代の最先端科学が解き明かしつつある、この宇宙の起源。この宇宙が誕生したのは、138億年前。そこには、ただ、「量子真空」(Quantum Vacnum )と呼ばれるものが存在した。

その量子真空が、突如、ゆらぎを生じ、急激な膨張を遂げた。それが「インフレーション宇宙」と呼ばれるもの。さらに、その直後、大爆発が生じ、この宇宙が誕生した。それ が「ビッグバン宇宙」と呼ばれるもの。

そして、誕生した宇宙は、当初「光」(光子:フォトン)で満たされた。それが徐々に冷え、最初に、最も軽い元素である水素が形成された。次いで、その水素が互いに重力で引き合って集まり、何億年もかけて生まれたのが、夜空に輝く無数の星々、恒星であり、その一つ、太陽の周りに生まれた惑星がこの地球に他ならない。

これが、現代科学が明らかにしつつある宇宙誕生のプロセスである。

しかし、この理論だけでも、我々は、深淵を覗くような不思議を禁じ得ないが、実は、現代の最先端宇宙論は、この「真空から生まれた宇宙」という驚愕の考えを超え、さらに、我々の想像を遥かに超えた理論を生み出しつつある。

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田坂 広志

田坂 広志

21世紀アカデメイア学長、多摩大学大学院名誉教授、田坂塾塾長。81年、東京大学大学院修了。工学博士。87年、米国パテル記念研究所研究員。90年、日本総合研究所の設立に参画。取締役を務める。00年、多摩大学大学院教授に就任。同年シンクタンク・ソフィアバンクを設立。08年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Agenda Councilメンバーに就任。11年東日本大震災に伴い内閣官房参与を務める。13年、全国から8300名の経営者やリーダーが集まり「7つの知性」を学ぶ場、「田坂塾」を開塾。著書は100冊余。

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