【連載】多様で健康的なファッションの未来を考える(5)
「オーガニックコットン」という表示を見かける機会が増えている。数年前までは、一部のブランドでしか取り扱いがなかったが、現在では多くのブランドの製品の一部にオーガニックコットンが取り入れられていたりする。喜ばしい状況ではあるが、オーガニックコットンも全ての問題を解決する万能薬ではない。そこからさらに一歩踏み出して、よりベターなコットン生産のあり方を探る。(一般社団法人unisteps共同代表=鎌田 安里紗)

ファッションにおけるサステナビリティを話題に挙げる際、最もメジャーな素材として上がってくるのがオーガニックコットンではないだろうか。
オーガニックコットンとは、農薬や化学物質を2~3年以上使用していない農地で、有機栽培されたコットンのこと。「ファッション」と「農業」は、一般的に関連を見出しにくい産業に思えるが、密接に関係している。
世界で流通しているコットンのうち、オーガニックコットンの割合は1%未満であり、到底主流化しているとは言えない状況である。しかし、「オーガニックコットンという選択肢があるのだ」という認識は少しずつ広まりつつあり、多くの人が手に取りやすい場所、価格帯でオーガニックコットンの製品に出会える機会は増えている。
そんな中、ビヨンドオーガニックコットンとも言える、さらなる挑戦を進めている企業もある。
■キーワードは「リジェネラティブ」
一般社団法人unisteps共同代表。衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響を意識する”エシカルファッション”に関する情報発信を積極的に行い、ファッションブランドとのコラボレーションでの製品企画、衣服の生産地を訪ねるスタディ・ツアーの企画などを行っている。暮らしのちいさな実験室Little Life Labを主宰。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。環境省「森里川海プロジェクト」アンバサダー。