家庭やゴルフ練習場からの人工芝が海洋プラゴミに

一般社団法人ピリカ(東京・渋谷)は3月、微少プラスチック流出の実態調査結果を発表した。自治体などと連携し、全国120地点の河川や港湾、湖を調査。採取したサンプルを分析し、流出製品の推定にも取り組んだ。その結果、家庭の玄関マットやゴルフ練習場などに使われる人工芝が最も多かった。(編集委員・栗岡理子)

砂浜に落ちていた人工芝などのプラスチック片

流出最多は家庭などで使われる人工芝

ピリカは独自に開発した「アルバトロス7」という網目0.3mmのプランクトンネットを装着した採取装置を使い、河川などに流出した5mm未満のプラスチック(マイクロプラスチック)を採取。大学や企業と連携し、採取した5000以上のプラスチックを分析した。調査期間は2020年4月から21年3月まで。

流出プラスチックを分析したところ、新たな事実が判明した。これまでも人工芝の破片の流出が多いことは知られていたが、主にサッカーや野球の競技場で使われているものが流出したと考えられていた。しかし今回、人工芝メーカーの協力のもと分析したところ、最も多く確認された人工芝は家庭の玄関や庭、ベランダなどに敷かれているものやゴルフ練習場で使用される人工芝だったという。

人工芝には射出成型と押出成型とがあり、射出成型は家庭の玄関マットやゴルフ練習場などで使用される。押出成型はサッカーや野球競技場の人工芝として使用される。採取したマイクロプラスチックのうち、人工芝は質量比で23.4%を占める。このうち8割以上が家庭などで使われる射出成型だったのだ。

人工芝の使用場所を特定し、チラシなどで啓発を

環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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