政府は18日、外国人の在留管理を厳格化する入管法改正案を取り下げる方針を固めた。入管施設に収容されていたスリランカ人女性が死亡した事案について真相究明を求める野党が、審議の強行を批判していることを考慮した。専門家や国連からも人権上の問題が多いと批判が集まっていた同法改正案だが、野党からの働きかけ、市民の声が歯止めをかけた形となった。(オルタナ副編集長=松田 慶子)
在留資格のない外国人に帰国を徹底させるという内容の、出入国管理及び難民認定法の改正案の審議が取り下げられることになった。
今回の方針転換に法的支援や生活支援、就労支援などさまざまな形で難民支援をしている認定NPO法人難民支援協会は「今後も推移は見守る必要がある」としながらも「いったんは安堵した」(広報部、伏見和子氏)とする。情報提供によって市民から声をあげてもらおうとSNSで行っているハッシュタグキャンペーンには8000件以上の反応が寄せられ、今も増えているという。
ただ申請者の収容の在り方や難民認定制度については、これまでも多くの人が犠牲になっており、世界的に見ても人権上の問題が多いと批判を受けている。
いったん「改悪」は食い止めた形だが、同会では「ここで終わりではなく、ここから難民保護の議論をより進めていきたい」と強調する。今後も制度を変えられるよう活動を検討しており、SNSでの発信も続ける予定という。