菅首相は5月28日に行われた日英首脳電話会談で、「リーダーによる自然への誓約:Leaders Pledge for Nature」に参加を表明した。これは、2030年までに、損失した生物多様性を回復させることを約束した国際アジェンダだ。2021年4月時点で85カ国・地域が参加を表明しているが、G7の中では日本と米国だけ参加していなかった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

生物多様性の回復に向けて取り組みを強化することを表明した

国際アジェンダ「リーダーによる自然への誓約:Leaders Pledge for Nature」は2020年9月の国連生物多様性サミットで発足した。2030年までの10年間で、失った生物多様性を回復するために10の行動を取ることを約束するものだ。

今、生物多様性は危機に陥っている。WWFジャパンの調査では、脊椎動物に関しては、過去50年間で平均68%減少し、淡水域に限れば84%も減っているのだ。

2030年までに損失した生物多様性を回復するため、英国のジョンソン首相は、5年間で気候変動対策資金のうち、30億ポンド (約4,400億円)を自然と生物多様性を回復させる活動へ投資すると発表した。カナダのトルドー首相も2025年までにカナダの陸地の25%と海の25%を保護することを表明している。

G7の中で米国と並んで参加を表明していなかった日本だが、今回の菅首相の参加表明を受けて、WWFジャパンの東梅貞義(とうばい・さだよし)事務局長は、「菅首相が、この10年間で自然損失の回復を約束したことは、日本の環境政策の大きな前進」と評価した。

「世界は、気候危機の悪化、自然の壊滅的な喪失、パンデミックのリスク増大など、前例のない課題に直面しています。早急に行動を起こす必要があり、政府、産業界、市民がともに課題に立ち向かうときです」

WWFジャパンでは、菅首相が、生物多様性の回復に向けて、国際的なリーダーシップを発揮することを求めた。

具体的には、(1)2021年10月に行われる生物多様性条約締約国会議での2030年国際枠組みを決定するにあたり、「生産と消費の負荷半減」「金融のしくみ変革」を積極的に賛同、実施をリードすること。(2)深刻化する海洋のプラスチック汚染に対して、国際協定の枠組みを早期に発足させることを日本政府が支持し、締結に向けた議論を主導すること――の2つだ。

「リーダーによる自然への誓約」で約束した10行動は下記の通り。

グリーン・リカバリー
野心的な国際枠組みの実行
統合的な説明責任の強化
持続可能な生産と消費への変革
気候変動対策
環境犯罪の撲滅
生物多様性の主流化
ワンヘルス
金融の変革
社会全体との協働