6月11日から13日、英国で「G7サミット」が開幕する。G7サミットとは、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダの主要7カ国の首脳が集まる国際会議のことを指す。毎年開かれているが、議題となるのは、その年の「重要イシュー」だ。開幕する前に今年の議題を抑えておこう。(オルタナS編集長=池田 真隆)

「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンで集まった脱炭素を求める署名は4月20日にも提出している、

■世界に逆行する日本 脱炭素の行方は

今年のサミットの主要議題の一つは、気候変動対策だ。議長国の英国やトランプからバイデン政権に変わった米国などは「気候危機」を解決するために強い政治的メッセージを表明すると予測されている。

英国は日本を含むG7諸国に対して、「2030年までの脱石炭」を成果文書に明確に盛り込むことを働きかけるとも報じられている。一方で、日本の脱炭素戦略はどうなるのか。

「30年までに温室効果ガス46%削減」を宣言した日本だが、今、注目されているのは改訂中の「エネルギー基本計画(エネ基)」だ。当初、エネ基の素案はG7前にまとまるとされていたが、G7閉幕後に策定される可能性が高い。

日本のエネルギー政策を中長期的にまとめたエネ基は、再エネ比率や原発比率などを定めたものだが、NGOたちは「30年に46%削減との整合性が取れない目標が出ると、産業界もどこに向かえばよいのかわからなくなる。50年にカーボン排出実質ゼロは難しくなる」と指摘する。

つまり、「50年に脱炭素社会」を実現するには、原発や石炭への依存を見直せるかが一つのカギなのだ。現行のエネ基では、原発は30年に20~22%、石油や石炭などの化石燃料は56%、再エネ比率は22~24%を目標に掲げている。

状況は決して明るくない。国際環境NGO FoE Japanで気候変動やエネルギー問題を担当する吉田明子さんは、「当初は、原発依存の低減という方向でエネ基が見直されていたが、ここに来て、原発の新増設や建て替えという声が出始めている」と危機感を露わにする。

日本原子力産業協会の新井史朗理事長は5月28日に開いた定例会見で、「原子力依存度を削減する」という表現の削除を求め、「原発の新増設と建て替え」をエネ基に盛り込むよう提言すると述べた。

自民党の総合エネルギー戦略調査会でも、「原発新増設や建て替え」を政府に求める提言案をまとめたと報じられている。

FoE Japanなど気候危機を訴える20以上のNGOは結集して、脱炭素を求める市民の声を政府に届けている。それは、「あと4年、未来を守れるのは今」という名称のキャンペーンで、エネ基と気候変動政策に対し、「化石燃料も原発も使わない、持続可能な再エネ100%の気候・エネルギー政策」を求める署名を集めた。5月31日時点で、237の賛同団体と約18万人が署名している。


さらに、生活クラブ事業連合生活共同組合連合会でも、「2030年再エネ60%以上・石炭火力の廃止、原発の即刻廃止」を求めた署名を集め、こちらには約5万人が署名した。

世界のトップが集うG7サミットの前日(10日)に、これら約23万人の署名を菅首相、梶山経産相、小泉環境相、河野行政改革担当相に提出する予定だ。吉田さんは、「原発を温暖化対策に利用すべきではない」と訴える。

参考記事
WWF「2050年に脱炭素、自然エネ100%可能」