容器包装ゼロ革命①:仏 市民権得た「量り売り」

E U(欧州連合)のプラスチックごみの6割は容器包装が占めている。プラスチックの容器包装を減らすため、フランスではここ数年、量り売りをする店が急増した。今では大手スーパーも専用コーナーを設けるほど市民権を得ている。小売業の脱プラ化が進む一方で、量り売り専門店「デイ・バイ・デイ」もフランチャイズで成長し、フランスとベルギーに73店舗を展開している。欧州で進む「容器包装ゼロ革命」をシリーズでお伝えする。(在パリ編集委員=羽生のり子)

大手スーパーも70%が量り売りを導入

量り売りは1980年代にオーガニック店から始まり、2000年代にはスーパーにも広がった。量り売り推進団体「レゾー・ヴラック(量り売り連絡網)」によれば2019年にはオーガニック店の88%、大手スーパーの70%が量り売りをしていた。ただ、ここで言う「量り売り」は穀物などの乾物に限り、青果は含まれない。青果は朝市では伝統的に量り売りであり、スーパーでも量り売りが主体だからだ。

同団体が2021年3月に発表した調査では、フランスの全世帯の40%が量り売りで商品を買っていた。2020年の量り売りの推定市場規模は13億ユーロ(約1700億円)である。2013年の売り上げが1億ユーロ(約133億円)だったので、7年で13倍になった計算だ。量り売りがフランス人の生活に根付きつつあることが、売り上げの上昇からもわかる。

専門店が多店舗化、有名ブランドも進出

買い方はセルフサービス式が多い。穀物やナッツ類はディスペンサーのレバーを押し、袋に入れる。クッキーなど形の大きい商品や粉末状のものは備え付けの計量スプーンで取る。使い捨てのビニール袋が禁止されたので、量り売り商品を入れる袋はクラフト紙か生分解性の植物由来のプラスチック製だ。持参した容器に入れる場合は、容器の重量を先に量り、商品込みの重量から差し引く。プラスチックのディスペンサーは中国製が主流だが、地産地消にこだわる店は国産ディスペンサーを使っている。

パリのスーパー「ヌ・アンチガスピ」の量り売りコーナー
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羽生 のり子(在パリ編集委員)

1991年から在仏。早稲田大学第一文学部仏文卒。立教大学文学研究科博士課程前期終了。パリ第13大学植物療法大学免状。翻訳業を経て2000年頃から記者業を開始。専門分野は環境問題、エコロジー、食、農業、美術、文化。日本農業新聞元パリ特約通信員、聴こえの雑誌「オーディオインフォ」日本版元編集長。ドイツ発祥のルナヨガ®インストラクター兼教師養成コース担当。共著に「新型コロナ 19氏の意見」(農文協)。執筆記事一覧

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