■気候変動とSDGs(1)■

気候変動とSDGs――。いずれも、企業に取り組む責任(CSR)が要請されるとともに、ビジネスの力で価値を生み出す(CSV)ことが求められる。それは理解しているのだが、実際にどのように取り組んでいくかとなると悩ましい、といった方も多いのではないか。そうした悩みを乗り越えるには、気候変動とSDGsのそれぞれに関する今後のトレンド・ニーズをしっかり押さえる必要があるだろう。(「環境・持続社会」研究センター事務局長=足立治郎)

■「脆弱層も含む適応策実装」が求められる

気候変動対策は、日本政府の2050年排出ゼロ目標や2030年マイナス46%目標が出され、注目が高まっている。これら目標達成のために、国内脱炭素が大きな課題だが、注意しなければならないのは、日本のエネルギー起源CO2を減らせばよいといった話ではすまなくなることである。

例えば、本年5月20・21日に開催された「G7気候・環境大臣会合」の成果をまとめた「コミュニケ」では、「エネルギー分野・廃棄物分野・農業分野からのメタン(化石起源及び生物起源)や、ブラックカーボンなどの他の強力な温暖化物質の排出及び漏出を削減するための野心的かつ緊急な行動が重要であると認識する。」(パラ36)と合意された。

メタンをはじめとするCO2以外のパリ協定対象温室効果ガスはもちろん、パリ協定の対象ではないブラックカーボンまで削減が求められる時代となってくるのだ。また、気候変動による被害を防ぐには、地球規模の温室効果ガス削減が要請され、日本には、途上国の削減への支援も期待される。

さらに、同コミュニケでは、「我々は、世界中で既に経験している気候変動の影響を、特にその影響に最も脆弱な人々が受けていることを、重大な懸念を持って認識する。(中略) 適応行動を強化、加速及び拡大し、最も脆弱な人々が、(中略)気候変動と生物多様性の損失の影響に適応し対処できるよう支援することを約束する。」(パラ21)とされた。今年2月に開催された「気候適応サミット」では、グテーレス国連事務総長が気候ファイナンスの50%はレジリエンスの強化と適応策に費やされるべきと発言している。

国内のCO2削減だけでなく、世界のあらゆる温室効果ガス削減、及び、脆弱層を含む適応策への貢献も求められる時代を迎えるが、それだけビジネスチャンスが潜んでいるということではないか。

■「トレードオフ回避」と「マルチベネフィット創出」

SDGsは、2015年のスタートから5年が経過した。今後は、2030年の達成に向け、SDGs取組の中でも、トレードオフを回避することが重要視され、マルチベネフィットを創出する取組に対する支援が高まっていくこととなる。

上記コミュニケでも、「我々は、ネット・ゼロへの移行は、(中略)、誰も取り残さない方法で、ネット・ゼロを実現するために必要な熟練した労働力を開発することにかかっていると認識する。」(パラ26)とされた。温室効果ガス削減を進める際に、誰も取り残さない方法で、雇用を生み出すことが求められ、そのための公的資金拠出が今後増大していくことは必至だ。

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