国内外で美容サロンを展開する人気美容室Lond(東京・中央)はこのほど、英国ヴィーガン協会の認証を取得したシャンプーとトリートメントを販売した。ヘアケア製品には、一般的に動物性原料が使われるが、植物性原料を使って製造した。ボトルではなくパウチタイプのみで作り、石油の使用量を減らし環境にも配慮した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

Londは銀座や表参道などに店舗を構える人気美容室だ。中価格帯(約8000円)でハイクオリティの施術が20から30代の女性たちに受け、ホットペッパービューティーアワードでは売上高一位の店舗に贈られる「ゴールドアワード」を5年連続で受賞中だ。
CSRやSDGsなどの取り組みにも積極的だ。清掃活動や店舗の電力の切り替え、児童養護施設へのボランティアカット、シャンプーの量り売りなど多彩な活動を展開している。美容室ではめずらしく、店舗の公式サイトにサステナビリティの取り組みを紹介した専用ページを持つ。
「非合理的経営」という独自の経営哲学を持ち、離職率については業界では「異常値」と評されている。美容師は3年以内に半数が辞める職種だが、Londでは創業(2013年)から5年間で離職者を一人も出していない。社員は200人を越すが現在までに辞めたのはわすが10人だけだ。
■1年間の試行錯誤の上に開発
そんな同社がこのほど開発したのは「リランス」という名称のオリジナルブランド。フランス語で「再起動、復活」を意味する言葉で、「明日もまた気持ちよく、豊かに生きられるように、リセットできるように」という願いを込めた。
商品名は「リランス プラントベースシャンプー 1.0」(400ml 3900円)と「リランス プラントベーストリートメント 1.0」(400g 4780円)。商品名に「1.0」と付いているのは、「今後もより良い製品をつくるために改良し続けていく。その第一弾という位置づけ」(石田吉信共同代表)。
製品の質にこだわり、同社の女性美容師が約1年間テイスティングを重ねて完成させた。マルラオイル、ウチワサボテンオイル、グリセリルグルコシドなどの希少性の高い植物から取った成分で髪の健康を整える。製造に当たり動物実験はしていない。
環境負荷に配慮してボトル販売もやめた。石油使用量の少ないパウチタイプで販売し、サロンではシャンプーのみ量り売りで提供している。

コーズマーケティングにも取り組む。4ℓ for 1 bottle (フォーリッターフォーワンボトル)というプロジェクトで、4リットル販売する度に、児童養護施設に同社のシャンプーを1本届けている。
同社の有志スタッフによる児童養護施設でのボランティアカット中に施設の子どもから、「お小遣いだけでは満足にヘアケアができない」という声を聞いた。この声から生まれたプロジェクトだ。