COP26に任せていられない、若者が「脱石炭」訴え

若者による気候正義ムーブメント「フライデーズ・フォー・フューチャー(FFF)ジャパン」は11月6日、「世界気候アクション」を行なった。東京・JR新宿駅前では日本各地をオンラインでつなぎ、「脱石炭」が切実に必要な理由を訴えた。(オルタナ編集部・長濱慎)

JR新宿駅南口「バスタ新宿」前で気候正義を訴える(写真:FFF Japan Twitterより)

■日本はグローバルサウスの暮らしと生命を脅かす「加害者」

今回はとくに、「石炭火力とMAPA(Most Affected People and Areas:気候変動の悪影響を最も受けている人々と地域)」に着目したアクションとなった。

仙台からオンラインで参加した池澤美月さん(大学生)は、以下のように日本の姿勢を非難した。

「岸田首相は石炭火力を使い続けることを前提に、100億ドルの追加支援を表明した。日本はアジアを開発し、環境破壊と人権侵害を進めることで利益を拡大しようとしている」

同じく大学生の清野華那さんも、危機感を示した。

「本当に気候危機と戦っているのはCOP26に集まったリーダーではなく、生命の危険をおかしながら声を上げているグローバルサウスの活動家たち。私たちは彼らの犠牲の上に豊かな暮らしを享受しており、私たちが日本の加害行為と戦うことでしかグローバルノースとサウスの分断は乗り越えられない」

2人はJICA(国際協力機構)や住友商事がバングラデシュで進めている、マタバリ火力発電所のプロジェクを中止するよう声をあげている。

FFFバングラデシュから聞き取った内容として、大気汚染による健康被害や、建設によって地場産業であるエビや塩の生産が壊滅することなど、現地が受けるリスクについても紹介した。

大学院生のヒル・ダリアさんも、無念さを募らせた。

「住友商事に申し入れをしてきたが、担当者に『現地の人々の命は大切だが、すでに契約を済ませたので建設は進める』と言われた。企業や政府は話を聞いてくれる相手ではない。私たちの運動を何万人もの規模に広げて圧力をかけることでしか、日本の加害行為は止められない」

アクション終盤には、COP26に出かけたメンバーからの現地報告もあった。

大学生の小林誠道さんは「昨日は気候マーチに参加した。そこにMAPAの若者がたくさんいたにもかかわらず、駆けつけた報道陣が追っていたのはグレタさんだった」と、自分たちの伝えたいメッセージとメディアのとらえ方にギャップを感じたという。

先に紹介した池澤さん、清野さんのスピーチ全文は、FFF仙台のブログで読むことができる。

https://fffsendai.wixsite.com/official-site/post/世界気候アクション1106スピーチ全文

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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