COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)で採択した地球の平均気温の上昇を1.5度に抑える目標に関連して、気候変動に関する国際イニシアチブに加盟する日本の金融機関が増えている。日本生命や野村アセットマネジメント、みずほフィナンシャルグループなどが相次いで参加を表明した。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

英国グラスゴーで開催されていた「COP26」は11月13日、「世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力を追求する」などを明記した成果文書を採択して閉幕した。

6年前のパリ協定では1.5℃に抑えることは「努力目標」とされていたが、今回1.5℃に抑えることが事実上、世界の新たな「共通目標」となった。

この目標の達成に向けて、金融機関の気候変動に関する3つの国際イニシアチブに日本の金融機関の参加が急増している。

日本生命、明治安田生命、住友生命は、「ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス」に、野村アセットマネジメントは、「ネットゼロ・アセットマネージャー・イニシアティブ」に、みずほフィナンシャルグループは「ネットゼロ銀行アライアンス」に相次いで参加を表明した。

「ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス」とは

「ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス」は2019年9月、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP-FI)と国連責任投資原則(PRI)が主導してつくったイニシアチブだ。

産業革命移行の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるというパリ協定での目標達成を目的に、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)にコミットする機関投資家の国際的なイニシアチブである。

世界的な保険会社や年金基金などを含む49機関が加盟しており、加盟機関合計の運用資産総額は7兆ドル(約770兆円)を超えている。

主な加盟メンバーは、保険会社ではアリアンツ、チューリッヒ、アビパ等、年金基金ではカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)など。

日本機関は、第一生命(2021年3月参加)、日本生命、明治安田生命、住友生命(以上3社同年10月)が参加を表明している。

「ネットゼロ・アセットマネージャー・イニシアティブ」とは

2020年12月に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP-FI)が主導して立ち上げたアセット・マネージャーのグループだ。

現在128資産運用機関が参加し、管理資産額43兆USドル(約4730兆円)である。主な加盟メンバーは、アムンディ、フランクリン・テンプルトン、HSBCアセット・マネ技メントなど。

日本機関は、アセットマネジメントone(2020年12月)、ニッセイアセットマネジメント(2021年3月)、三井住友トラスト・アセットマネジメント(同年7月)、野村アセットマネジメント(同年11月)が参加している。

「ネットゼロ銀行アライアンス」とは

2021年4月に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP-FI)と英チャールズ皇太子が主導して設立した、2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブである。

現在36カ国82銀行が参加し、総資産60兆USドル(約6600兆円)、グローバルバンキング資産の39%を占めている。

主な加盟メンバーは、 バンク・オブ・アメリカ、(米国)、BNPパリバ(仏国)、ドイツ銀行(独国)など。

日本では、三菱UFJフィナンシャルグループ(2021年5月)、野村ホールディングス(同年9月)、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友トラストホールディングス、みずほフィナンシャルグループ(以上3社同年10月)が参加している。