日産自動車と仏ルノー、三菱自動車は1月27日、3社によるアライアンス(連合)の取り組みについて共同で発表した。3社は、2030年までに合計で35車種以上のEVを市場に投入し、新たに230億ユーロ(約3兆円)を投資する。日産が進める全個体電池は、2028年までに量産化を目指す。(オルタナ副編集長=山口勉)

三菱自の加藤隆雄社長兼CEO
「かつてないほど力強いアライアンスが実現している」プレゼンテーションの冒頭で、日産の内田誠社長兼CEOはこう力を込めた。
3社は車を構成するパーツの共通プラットフォーム化を進め、現在その割合は6割に達する。これを2026年までに90車種、8割まで高める。
また、研究開発費として、これまでの年間150億ユーロ(約2兆円)に加え、2030年までに新たに230億ユーロ(約3兆円)を投資する。
3社は、それぞれの強みを活かした関係作りを「リーダー・フォロワー制度」で構築してきた。得意分野について、1社がリーダーとなり開発を進める。他の2社がフォロワーとなってリーダーをサポートするというものだ。
日産は自動運転と全個体電池で、ルノーはエレクトロニクスと電気機構、三菱自動車は、プラグインハイブリッドや軽自動車開発でリーダーを務める。
車もつながるのが当たり前に
ルノーはコネクテッド技術を強力に推し進める。ルカ・デメオCEOは、「2026年までに500万台がクラウドにつながり、グーグルと連携したアプリケーションが利用可能になる。ユーザーには、自分だけにカスタマイズされた体験を提供する」と熱を込めた。

デメオCEOは、これからの車は、「ソフト定義型車両」だと言う。自動運転などのソフトウェアをアップデートすることで、数百ユーロの残存価値を産むという。
また、アプリケーションを利用して、「バッテリー証明書」を発行することで、中古EVの残存エネルギーの証明になり、適切な再販売価格が設定できるようになる。
三菱自動車の加藤隆雄社長兼CEOは、「今後は欧州市場でのプレゼンスを高めていきたい。そのためにはルノーの工場で生産する可能性も探っていく」と意気込みを述べた。
日産が開発を進める全個体電池も、EVの性能を急激に向上させる基幹技術の1つだ。同社は、横浜にプラットフォーム工場を2024年までに建設する。その後量産化し、2028年の供給を目指す。
世界の自動車メーカーは、EVシフトの流れの中でもがいている。既存のメーカーに加え、テスラをはじめとするIT企業の参入も勢いを増す。日本ではソニーもこの1月に参入を発表した。
企業は脱炭素へ向けた取り組みを、いかにビジネスチャンスにできるかが問われれる段階になった。