一般社団法人インターンシップ共創センター(東京・渋谷、以下ICC)はこのほど、良いインターンシップを学生が選ぶことができる認証制度を始めた。インターンシップの認証制度は日本初だ。インターンシップの名を借りた無償労働などが増えており、それらは「ブラックインターン」と呼ばれ問題になっている。(オルタナS編集長=池田 真隆)
ICCが立ち上げた制度は、「GOOD INTERN(グッドインターン)」。この制度は「宣言」と「認証」の2種類ある。「宣言」は、ICCが定める三原則と正確な情報開示を遵守する「グッドインターン宣言」に賛同した企業が無償で使うことができる。「認証」は「宣言」よりも格上に位置し、ICCの審査を通った団体のみが使用できる。
ICCが定めた、企業などがインターンシップを開く上で守るべき三原則は、「公正な情報開示」「誠実な行動」「教育の実施」。加えて、インターンシップの目的や内容、期間、待遇など10種類以上の情報を正しく開示することを求めた。この制度は、企業だけでなく非営利組織も対象にしている。
ICCを立ち上げたのは、『企業のためのインターンシップ実施マニュアル』(日本能率協会マネジメントセンター)の共著者であるインターンシップアナリストの野村尚克氏。「グッドインターン」「インターン学歴」「三大ブラック問題」の名づけ親であり、インターンシップの新しいガイドラインを策定した。
■見分けるポイントは「労働者性」
昨今、「ブラックインターン」は増加傾向にある。ブラックインターンとは、「採用につながる」と学生に伝えて、無償で労働させるインターンシップだ。企業側は、アルバイトではなく「インターンシップ」としているので賃金を支払わず、保険にも入れていない。
ICCの野村氏は、「これは典型的なアメをぶら下げて学生を酷使するやり方ですが、企業にはそれをわかってやっているところもあれば、インターンシップのルールがないために、悪気なしにやっているところがあります。これに騙されて、貴重な時間をタダ働きさせられている学生にはよく会います」と話す。
学生が泣き寝入りしている状況を防止するために、この制度では企業に「労働者性」の確認を求めた。
「企業から業務に関わる指揮命令を受けて、インターン生が携わった作業が利益や効果をもたらしたのであれば労働者に該当します。この労働者性についてもしっかりと確認します」(野村氏)
「ブラック」だけでなく、「グレーインターン」も横行しているという。グレーインターンとは、採用につながるのか、就業体験のみなのか学生にとっては、企業が何を求めているのか判別不能なインターンシップを指す。
グレーインターンが増えた背景について、野村氏は「大学側がインターンシップでの採用を控えるように要請していることがあります」と指摘する。同制度では、企業にインターンシップを行う目的などを開示するように求めている。