10月31日の投開票が迫る衆院選に向け、各政党は「持続可能な社会」をどのように考えているのか。8政党の公約から、サステナビリティに関わる3つの領域である「気候危機対策」、「人権」、「ダイバーシティ」に関係するものを紹介する。(オルタナ編集部・長濱慎)

投開票は10月31日、総務省ホームページより

■気候危機対策:削減目標と原発の扱いに差異

全党とも「2050年カーボンニュートラル」という目標は同じだが、温室効果ガスの削減目標値はそれぞれに異なる。

・自民党「2030 年度温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラル実現に向け、企業や国民が挑戦しやすい環境をつくるため、2 兆円基金、投資促進税制、規制改革など、あらゆる政策を総動員する」

・立憲民主党「2030年に温室効果ガス排出量を13年比55%以上(10年比51%)削減し、50年までのできるだけ早い時期にゼロの脱炭素社会を実現」

・日本共産党「2030年度までにCO2を10年比50%〜60削減」

・社民党「温室効果ガス排出量を2030年に13年比60%、2050年に100%削減を目指す」

カーボンニュートラル実現の手段として、自民党と公明党は「火力発電の高効率化、CO2を資源として有効活用するカーボンリサイクルなどの技術開発を推進する」(公明党)と、イノベーションの活用をうたっている。

これに対して、立憲民主党は「技術革新に依存せず、既存の省エネ・再エネ技術で最大限の温室効果ガス削減を行う」と、実用化されていない技術に頼る方法に警鐘をうながす。

日本維新の会は「30年温室効果ガス46%削減目標については、過度な負担が産業流出を招かないよう配慮しつつ、目標達成に不可欠な技術革新と雇用創出を実現」と、環境と経済との両立を強調した。

電源構成における再エネ比率については、立憲民主党と日本共産党が2030年に50%、50年に100%という目標を掲げる。れいわ新選組、社民党の両党も「50年に100%」を明記した。

原発については、自民、公明、日本維新、国民民主が、安全性を重視しながら活用していく方針を打ち出した。そこでは次世代型の原発である小型モジュール炉や、2035年頃の稼働が見込まれる「核融合発電」(自民党)の活用をうたっている。

一方で「原発ゼロ」を掲げるのが立憲民主、日本共産、れいわ新選、社民の各党だ。この中でれいわ新選は「脱原発・廃炉ニューディール」を、社民は「原発ゼロ基本法案」を成立させ、国の責任で廃炉を進めるとしている。

国民民主党は「電力部門に限らずあらゆる部門(エネルギー製造、運輸、民生)における省エネや電化促進をはじめとする技術革新と社会実装によるイノベーションを推進」と、電力以外の分野にも言及しているのが特徴だ。

日本共産党も「産業分野は中小企業の省エネ投資を支援」、「運輸・交通分野は電気自動車の普及」、「都市・住宅分野はネット・ゼロ・エネルギーの家やビルの普及」など、電力分野以外に踏み込んだ解決策をうたっている。

■人権:格差是正、雇用、教育が柱に

人権問題については、コロナ禍を受けての貧困や格差の是正に関する公約が目立つ。

・自民党「非正規雇用、女性、子育て世帯、学生をはじめコロナで困っている人々への経済的支援を行う」

・公明党「生活困窮者を支援するため、緊急小口資金等の特例貸付、住居確保給付金の再支給、自立支援金について申請期限の延長や支給要件の緩和を行う」

・立憲民主党「コロナ禍で家計が苦しい世帯への支援として、個人年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税、住民税非課税世帯をはじめとする低所得者へ年額12万円の現金支給を行う」

・日本共産党「生活保護を『生活保障制度』に改め、必要な人がすべて利用できる制度にする」

・日本維新の会「『チャレンジのためのセーフティネット』構築に向けて、給付付き税額控除またはベーシックインカムを基軸とした再分配の最適化・統合化を検討し、年金等を含めた社会保障全体の改革を推進する」

・国民民主党「コロナ蔓延防止協力金として一律10万円、低所得者には20万円を給付する」、「給付付き税額控除とプッシュ型支援で「日本型ベーシックインカム」を創設する」

・れいわ新選組「消費税を廃止し、社会保険負担を軽減する。必要な財源は超富裕層に負担を求める」

・社民党「中小企業支援策とセットで、最低賃金を全国一律1500円/時に引き上げる」

ブラック労働の是正に関する公約が目立つのが、日本共産党だ。その中から3つの公約を紹介する。

・「残業時間の上限を週15時間、月45時間、年360時間とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保する」

・「高度プロフェッショナル制度を廃止する」

・働く場での暴力とハラスメントを広く禁じた「ILO190号条約」を批准する。

れいわ新撰組も、雇用の安定に関する公約が目立つ。

・「約70万人の非正規公務員をできるだけ早く正規雇用に移行する」

・「経団連による『雇用の流動化』という名の規制緩和をストップ、派遣法を見直し、長時間労働を規制する」

さらに、れいわ新選組は、入管における人権侵害の根絶とともに「外国人技能実習制度の廃止」を掲げる。

教育については、各党とも貧困をはじめ子どもが置かれた状況が劣悪であることを認識しているようだ。

公明党は「子ども家庭庁」の創設、「子ども基本法」の制定、「子どもコミッショナーを設置」し、子どもの人権を守るとしている。

貧困家庭の子どもも教育の機会が得られるよう、日本共産、日本維新、国民民主の各党は「教育の無償化」をうたう。

れいわ新選組は「約580万人の奨学金をチャラに」、社民党は「朝鮮学校に高校授業料無償化制度を適用」と、特定の層に向けて踏み込んだ政策を掲げた。

■ダイバーシティ:夫婦別姓制度には大部分が賛成、 LGBTQ理解も

「夫婦別姓制度の導入」は、自民党以外の全党が政策に盛り込んだ。立憲民主、日本共産、日本維新、れいわ新選、社民は同性婚も認めるとしている。

「LGBT差別解消法」はじめ、性的マイノリティの理解促進についても「LGBT平等法を制定し、社会のあらゆる場面で性的マイノリティの権利保障と理解促進を図る」(日本共産党)をはじめ、立憲民主、日本維新、れいわ新選、社民の各党が明言している。

女性や障がい者については「高齢者、女性、障がい者を含め、誰もが望む形で働ける社会を目指す」(自民党)をはじめ、各党とも何らかの公約を掲げた。

組織内の女性比率を高める「クオータ制」の導入をうたっているのが、れいわ新選組と社民党だ。

・れいわ新選組「政党は候補者および役員の、公的機関は各種委員会や審議会委員の、大企業は管理職や役員の50%を女性に割り当てる「クオータ制」を法制化する」

・社民党「社会のあらゆる部分でジェンダー平等を実現するために「クォータ制」を進め、議会などの意思決定における女性の比率を高める」

「ヤングケアラーへの支援体制の構築」(立憲民主党)、「日本に定住している外国人の参政権」(社民党)など、多様なマイノリティへ目を向けた公約も目に付く。

さらに、立憲民主党は「性別、部落、民族、障がい、国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を廃止し差別に対応する国内人権機関を設置する」とした。

政府から独立した国内人権機関の設立は、日本が国連人権理事会から勧告を受けたテーマでもある。