■エステー 鈴木貴子社長インタビュー■

多様な「空気」ビジネスに取り組んできたエステーがコロナ禍で伸長するペット市場に参入する。同社は森林の間伐時に発生する未利用資源を活用した独自の循環型「消臭技術」を持ち、この技術を使って開発した猫用のトイレケア製品を2月22日に発売した。5年後の2027年3月期までに30億円を狙う。同社の鈴木貴子社長にその戦略やサステナビリティの考え方について聞いた。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

エステーの鈴木貴子社長

■循環型「消臭技術」でペットケア参入

――コロナ禍でペットケア用品市場は745億円から825億円と110%成長しています(富士経済調べ)。「エステーペット」では5年後には30億円の規模を狙いますが、どのような戦略を考えていますか。

まずは猫用のトイレケア用品から参入します。エステーのビジネスの軸は「空気」なので、あくまで匂いの問題解決に専念する考えです。そのため、現段階では通常のフードの開発は考えていません。

日本で圧倒的な消臭性能を実感して頂き、その後、ECショップを活用してアジア周辺国に販路を広げていくことを計画しています。アジアへの進出は早ければ今年中に考えています。

エステーペット 実感消臭トイレ、サイズは幅約45.5cm、奥行約58cm、高さ約43cm、ウンチ用スコップも付属

――ペット用品市場への参入はどのような経緯で考えましたか。

課題意識としては、ペットの飼育放棄がありました。長期化するコロナ禍ではペットを購入する人は増えていますが、一方で若い人がペットショップで購入する姿を見るたびに本当に知識や覚悟を持って購入しているのか心配になることが少なくありませんでした。

駅にも飼育放棄を啓発するポスターが貼られるくらいに社会課題になっています。実際、猫の飼い主へのアンケートでは「困りごと」の上位に匂いの問題があります。そこで、エステーがこれまで築いてきた消臭技術をペットケアにも活かせるのではないかと考えたのです。

北海道トドマツの間伐材を活用したサステナブルな循環型事業「クリアフォレスト」の消臭成分がペットの排泄臭に効果的に作用することが分かり、ペット用品市場に参入することを決めました。

――循環型事業「クリアフォレスト」とはどのようなものでしょうか。

エステーでは香りや匂いに関する基礎研究を行う研究機関として、2004年に日本かおり研究所を立ち上げました。クリアフォレストは、日本かおり研究所のテーマの1つで、国立研究開発法人森林研究・整備機構と共同開発した成分・技術ブランドです。

北海道産のトドマツの間伐時に発生する未利用資源の枝葉から独自の装置で抽出した空気浄化作用に優れる「機能性樹木抽出成分」を活用しており、圧倒的な消臭効果を持ちます。

トドマツから抽出する成分には、針葉粉体、樹木水、樹木精油があり、このうち「針葉粉体」が猫の排泄臭に非常に効果が高いことを発見しました。

今回開発したトイレ本体にも針葉粉体を練りこむことで、その分プラスチックの使用量を削減しました。さらに、林地に放置されている枝葉の回収及び抽出事業を創造したことで、林業に新たな雇用を生み出し、商品にして売ることが、森の環境保全に還元されるサーキュラーエコノミーを実現しています。

日本かおり研究所が行う森林空気の測定イメージ

サステナビリティはロイヤルカスタマー戦略

――「循環」をテーマにした商品ですが、サステナビリティを意識する顧客が増えてきたと見ていますか。