
パソナグループは3月3日、東京・大手町の自社ビルのなかにあるビル内農園「アーバンファーム」で稲刈り式を行った。約90平方メートルの水田から、白米約50キログラムを収穫した。
収穫された稲はこの本部ビルの本社の社員食堂で提供される。また葉や茎は同社グループが飼育し、ときどき会社を訪れて社員に「癒し」を与えるヤギ2頭の餌にもなる。この水田では年3回の収穫ができ、今回は昨年秋に続く2回目の収穫。室内では人工照明による明るさの調整、風、温度の管理によって人工的に自然を作り出した。(写真1、2)

パソナは2009年に本部を大手町に移転。自然との共生をテーマに「社員の健康」やグループのビジネス「農業」に配慮したオフィス環境を整備した。屋内では、衛生や生育環境に配慮した畑や水耕栽培の植物農園がある。こうした場所から、一年中野菜の収穫が可能だ。
オフィスや会議室、来客用打ち合わせスペースの壁・天井にはプランターが置かれ、野菜が育てられ、落葉樹なども植えられている。

植物を育て、緑に囲まれたオフィスで快適に過ごすことで、社員の精神衛生面に役立つことを狙った。収穫された野菜や果物は同社グループの社員食堂で提供され、東京の真ん中で「地産地消」を実現している。
同社は人材派遣業、就職あっせん事業を行ってきたが、現在は新しく農業をしようとする人々への講習、就業支援も行う。また音楽家など芸術家支援もする。今回の稲刈り式は同社が支援する音楽家による演奏が行われた。また同社が支援する自然衣料「ECOMACO(エコマコ)」も紹介された(写真3)。これは一部にここで採れた植物で作られた糸や染料を使った服だ。

パソナグループの南部靖之代表は「私たちは社会の問題を解決するためにビジネスを行ってきた。ここでの経験を就業の拡大や、農業の活性化に役立てたいと話した。稲刈りには鹿野道彦農水大臣も参加し、「都市で農業をするという発想に感銘を受け、実際にみて驚いた。農業の可能性を感じた」と感想を述べた。またパソナが昨年の大地震後、復興支援するハイチなど各国の大使も稲刈りに参加した。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年3月8日