生物多様性に関連する国際金融イニシアチブFfBは、アクサ、アリアンツなど金融世界大手26社が2020年9月25日に発足させた、事業運営と投資運用の中で生物多様性へのインパクトのプラスへの転換にコミットする「生物多様性のためのファイナンス協定」である。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)
生物多様性に関連する国際金融イニシアチブには、FfB(Finance for Biodiversity Pledge and Foundation:イニシアチブの趣旨=連携強化)、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:同=情報開示)、SBTN(Science Based Targets Network:同=目標設定)、NA100+(Nature Action 100+:同=エンゲージメント)、PBAF(Partnership for Biodiversity Accounting Financials:同=インパクト測定)がある。
FfBは、国連生物多様性条約事務局が9月15日、地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)を公表し、2020年までの10年間の生物多様性目標「愛知目標」が大幅に未達成に終わった中で発足した。
2021年に開催される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向け、各国政府に対し生物多様性や生態系の保護を要求した形である。
アクサ、アリアンツ・フランス、エイゴン・オランダ、ASRネダーランド、ラボバンク、トリオドス銀行、Robeco、Mirova、NNインベストメント・パートナーズ、J・サフラ・サラシン銀行等45社がメンバーズに登録されており、日本からは2021年5月、りそなアセットマネジメントが参加している。
FfBは、2024年までに実施する「知見の共有」「ESG投資ポリシーに生物多様性を組み入れ、投資先企業にエンゲージメント」「事業運営と投資運用での生物多様性インパクト測定」「生物多様性観点での目標設定」と「情報開示」の5つのコミットメントで構成されている。
りそなアセットマネジメント社は、パーム油のサプライチェーンに関わる投資先企業を対象に「持続可能なパーム油」の調達に対する取り組みの理解と方針策定をサポートしている。
生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)は第一部が、2021年10月11日~15日、オンライン方式と中国・昆明での対面方式を併用して開催された。
2022年3月29日、ジュネーブで開催された国連生物多様性条約締約国会議(CBD COP)が終了し、「ポスト2020年グローバル生物多様性フレームワーク」の目標、 支援メカニズム 、ターゲットに関する最初の草案が作成された。
「絶滅の危機に瀕している種の割合を10%減少」「2030年までに年間7000億ドル(約86兆円)まで資金ギャップ縮小」などが盛り込まれた。 本フレームワークは、2022年内に中国・昆明で開催される国連生物多様性会議(COP-15)で最終合意予定である。