極上の乗り心地と道を選ばない走破性を備えた旅自転車

■間違いだらけの自転車選び(27) 山本修二(自転車ジャーナリスト)

●注目のポイント
1 太いタイヤによる乗り心地の良さ
2 ドロップハンドルでも山道を軽快に走れる
3 並外れた拡張性の高さ

サーリーからリリースされたドロップハンドル専用設計のトレイルバイク

●今回の自転車紹介
サーリー/ゴーストグラップラー
価格28万3800円(税込)。フレームは、強度と乗り心地の良さを重視したクロモリスチールフレーム。フォークは軽快なハンドリングを実現するために専用設計されたオリジナル品。変速機は、マイクロシフト製の10段変速。ギア比の幅がワイドなので、これでも十分快適に走れる。ブレーキは、メンテナンス性に優れるテクトロ製のワイヤー引き。
モトクロスインターナショナル http://ride2rock.jp/brands/surly/

■トレイルで楽しめるドロップハンドル専用設計車

Ghost Grappler(ゴーストグラップラー)。幽霊をぶん投げる輩。そんなユニークなネーミングの自転車が登場した。これは、アメリカ・ミネソタ州に本拠地を置く、クロモリスチール(鉄)フレーム専門ブランド『サーリー』の最新作だ。

ここ数年、ロードバイクの流れをくむ『グラベルバイク』という、ドロップハンドルで林道など未舗装路を走れる自転車が脚光を浴びている。未舗装路かつ長距離を走るレースにも使われるため、タイヤ幅は3~4cmが主流で、車重も軽く、ハイスピードで走れるのがグラベルバイクの特徴だ。

これに対してゴーストグラップラーは、よりテクニカルなマウンテンバイクで遊ぶようなトレイルで楽しめるよう設計されている。しかもドロップハンドル専用設計という。

見るからに高い位置にあるハンドルポジションが特徴。ハンドルは、サルサのカウチッパー

普通のマウンテンバイクにドロップハンドルを装着して乗っているユーザーは少なからずいる。他メーカーでも、ドロップハンドル仕様のマウンテンバイクというのは、いくつも存在する。では何が新しいのか?その性能がどうしても気になり試乗してみた。

パッと見ると、ハンドル位置が異様に高いことがわかる。これこそがゴーストグラップラーの最大の特徴だ。サーリーによれば、このフレームは、最初にドロップハンドルの位置を決め、そこから全体をデザインしたという。そう、この高いハンドルポジションありきのバイクなのだ。

試乗車は、Mサイズ。メーカーサイトには適応身長が165cm以上とある。僕の身長は171㎝。またがったときに、ハンドル位置が少し遠く感じられた。それでも、ハンドル位置が高いので、前傾姿勢がきつくなることもなく、視界も広く安心して乗れる。

舗装路を走ってみて、思わず顔がほころんだ。それは、めちゃめちゃ乗り心地がいいから。幅2.5インチ(63.5mm)のタイヤが、路面から伝わるであろう振動をみごとに打ち消し、極上の乗り心地を生み出す。しなやかなスチールフレームであることも、その上質な乗り心地の一因と想像する。

27.5×2.5インチのマウンテンバイク用のタイヤを装備。トレイルでも安心だ

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yamamoto_shuji

山本 修二(自転車ジャーナリスト)

1963年東京生まれ。ライター。雑誌を中心に、競うことなく笑顔で楽しめる自転車ライフを提案している。最新著書『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』(技術評論社)。

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