米国務省は7月19日、世界188カ国・地域の人身売買報告書を公表し、日本の「外国人技能実習生制度」について「人権問題への取り組みが不十分」と指摘した。G7のうち、米、英、カナダ、ドイツ、フランスは人権対策が最も進んでいる「第1グループ」に入ったが、日本とイタリアはその下の「第2グループ」に分類された。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

米国務省2022年版年次報告書

人身売買報告書は全634㌻からなり、日本は313㌻-317㌻に記載されている。評価は「第1グループ」「第2グループ」「第2グループ ウオッチリスト」「第3グループ」の4段階である。

第1グループは、米、英、カナダ、ドイツ、フランスの他、豪州、フィンランド、オランダ、スウェーデン、スペイン、フィリピン、シンガポール、台湾など30カ国である。

第3グループは、アフガニスタン、中国、キューバ、イラン、北朝鮮、ロシア、シリア等22カ国である。

日本に関する報告書要旨は次の通り。

1.日本政府は、人身売買撲滅のための最低基準を完全には満たしていないが、そうするために多大な努力を払っており、日本は引き続き3年連続で第2グループに留まった。

2.あらゆる形態の人身売買に対処し、人身売買の被害者を特定して保護するという政治的意思が継続的に欠如している。

3.政府は、4人の技能実習制度(TITP)参加者を人身売買の犠牲者として初めて公式に認めた。

4.日本には、国際法に沿った人身売買防止法がなく、成人と子供の売春、児童福祉、移民、および雇用基準に関連する法律により、性的人身売買および労働者の人身売買犯罪を犯罪とみなしている。

5.政府は、2016年の「技能実習の適切な訓練と技能実習者の保護に関する法律」(TITP改革法)を引き続き実施した。 TITP改革法は、厚生労働省が、TITP参加者とその雇用主によって共同で開発された生活条件、労働時間、およびその他の要素を概説する作業計画を承認することを義務付けている。

6.TITPは、外国人労働者の基本的な技術スキルを育成するために設計された政府運営のプログラムであり、ゲストワーカープログラムである。

7.バングラデシュ、ブータン、ビルマ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、モンゴル、パキスタン、フィリピン、タイ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナムからのTITP参加者は、自国の派遣組織に数千ドルの過剰な労働者負担を支払い、漁業、食品加工、甲殻類栽培、造船、建設、繊維生産、電子部品製造に携わっている。

8. TITPの雇用主の一部は、プログラムの意図に反して、技術的なスキルを教えたり開発したりしない仕事に多くの参加者を配置したり、彼らが事前に合意した義務と一致しない仕事に参加者を配置している。

9.労働者の一部は、移動とコミュニケーションの自由の制限、パスポートやその他の個人的および法的文書の没収、国外追放または家族への危害の脅威、身体的暴力、劣悪な生活条件、賃金滞納等を経験している。

10.2021年には、7,167人のTITP参加者が職を失い、その一部は搾取的または虐待的な状況のために逃亡した可能性がある。