グローバルヘルスに取り組む有志企業11社は8月19日、TICAD8の公式サイドイベント「Global Health Action Japan(グローバルヘルス・アクション・ジャパン)」を開催した。特別ゲストとして登壇したビル・ゲイツ氏は「新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、『グローバルヘルス(地球規模の保健医療)』は2009年に後戻りした。「官民が連携してイノベーションを起こすことが重要だ」と訴えた。(オルタナ副編集長=吉田広子)
米マイクロソフト共同創業者のゲイツ氏は、2000年にビル&メリンダ・ゲイツ財団を創設して以来、「グローバルヘルス」と呼ばれる地球規模の保健医療分野の課題解決に取り組んできた。
ゲイツ氏は「HIVやマラリアなどの感染症対策が進み、感染症による死亡者数は減少してきた」としたが、「パンデミックによって、グローバルヘルスは2009年時点に後戻りしてしまった。特に貧困国では保健医療が機能していない」と危機感を示す。
「必要なのは政府のリソースだけではなく、イノベーションだ。イノベーションには、技術革新だけではなく、物事の進め方やデザイン、コミュニケーションなど、さまざまな側面がある」(ゲイツ氏)
日本では、チュニジアで開催されるアフリカ開発会議「TICAD8」に合わせて、「グローバルヘルスに取り組む有志企業一同」が発足した。現在、13社が参加。「誰もが必要な医療にアクセスでき、世界中の人々が健康である未来を創る」をパーパスに掲げる。
「グローバルヘルス・アクション・ジャパン」では、有志企業10社が、グローバルヘルスの取り組みとその成果を発表。塩野義製薬は薬剤耐性(AMR)への取り組み、サラヤはスナノミ症治療薬の開発、大和証券はワクチン債の発行など、多様な事例が共有された。
ゲイツ氏は「ビジネスリーダーの声は重要だ。日本企業は、診断薬や物流、AI、金融などで、グローバルヘルスを進めてきた」と評価する。
「グローバルヘルスは興味深いテーマ。人の役に立つ仕事は楽しい」と話し、「従業員や自社の利益だけではなく、スキルを使って、支援が必要な人を助けてほしい」と訴えた。
「グローバルヘルスを応援するビジネスリーダー有志一同」は次の通り。
シブサワ・アンド・カンパニー 渋澤健CEO(有志代表)
シスメックス 家次恒会長兼社長CEO
日本電気 遠藤信博特別顧問
ビル&メリンダ・ゲイツ財団 柏倉美保子日本常駐代表
SORA Technology 金子洋介CEO
豊田通商 加留部淳シニアエグゼクティブアドバイザー
富士フイルム 後藤禎一社長・CEO
miup 酒匂真理CEO
サラヤ 更家悠介社長
大和証券グループ 田代桂子取締役兼進行役副社長
塩野義製薬 手代木功会長兼社長
エーザイ 内藤晴夫代表執行役CEO
サントリーホールディングス 新浪剛史社長
ヤマハ発動機 日高祥博社長