「モノ言う株主」より「モノ言う社員」でガバナンス改善

■オルタナ70号第一特集先出し記事「外形のガバナンス/内面のガバナンス」

■記事のポイント
①売上利益を優先し法令を軽視した歪んだ企業風土が不祥事の温床になる
②レオパレス21では「走りながら考える」体質やチェック機能の弱さを指摘
③再発防止は、経営層に直言できる「モノ言う社員」の増加がカギに

歪んだ企業風土が不祥事を引き起こす。2018年に施工不備問題が発覚したレオパレス21では利益最優先の体質やチェック機能の不全があった。このため、再発防止に向けて経営者と社員が双方向で対話する機会を設けるなど、ボトムアップ型の組織づくり、「モノ言う社員」を増やすことで企業風土の改革を目指す。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)

レオパレス21は2018年に発覚した施工不備問題をきっかけに企業風土改善を進める(画像はイメージ)

売上高や利益を最優先する企業風土は不祥事を生みやすい。日野自動車の排出ガス規制や燃費不正問題では、スケジュールや数値目標を最優先しやすい環境や仕組みが背景にあったという。

4年前に施工不備が発覚したレオパレス21は、経営者と社員が双方向で対話するなど、企業風土の改善に向けた努力を続ける。


■バブル崩壊後の不振がきっかけに

レオパレス21は2018年に、1993年から2001年にかけての竣工物件で施工不備が発覚した。不備棟数は1万2366棟に上った。問題発覚から4年が経過した現在も改修作業は続く。

その原因は企業風土にあった。調査報告書はこう指摘する。「本件の原因は第一に、当時の厳しい経営環境の中で、『走りながら考える』との状況で、経営危機からの脱却と請負建築事業の拡大が最優先された点にある」。

経営危機とは90年代バブルの崩壊によるものだ。1990年3月期に営業利益312億円をあげた。しかしバブル崩壊後、1993年3月期から1995年3月期まで営業赤字が続いた。

それまで同社の主力だったアパート分譲事業が不振に陥った。この経営危機から脱却するために業態転換を図った。それまでのアパート分譲から請負建築と一括借り上げによる賃貸事業への転換だ。

経営危機からの脱却という焦りと、事業の急速な転換は歪みを招いた。物件数の急拡大に対応できる商品開発、施工管理、工事監理などの整備が追い付かなかった。商品の問題点についても意見が言いづらい環境だった。役職員のアンケートではチェックすべき建築士や設計部門の発言力の弱さも挙がった。

コンプライアンスに対応する体制の不整備や業績拡大の優先、そして品質を管理する部署の発言権の弱さといった企業風土を問題視した。

■5月29日「変革の日」を忘れない

設置した外部調査委員会が報告書を提出したのは2019年5月29日。翌年にはこの日を「変革の日5.29」とした。再び過ちを繰り返さないと誓う日だ。報告書を受領した翌日には、取締役だった宮尾文也氏が代表取締役社長に就任する。ここから社内の意識改革に乗り出した。

そのなかで重きを置くのが企業風土の改革だ。

2019年度には経営層と従業員が、各地域で抱える課題などを話し合う「地域スモール会議」を37回開催した。

2021年9月以降は宮尾社長が全国の支店を回って従業員と交流する「タウンミーティング」26回、経営層と従業員がテーマごとに話し合う「リンケージ・ミーティング」を3回実施した。社員が経営陣に進言できる環境に変化しつつあるという。

こういった取り組みは実を結びつつある。同社ではこれらの取り組みで「顔が見える経営体制、逆に言えば、業務にモノが言えるように変わってきていると思います」(広報担当者)と評価する。

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萩原哲郎

萩原 哲郎(オルタナ編集部)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #ガバナンス

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