投資家は「現代奴隷」にどう向き合っているのか

記事のポイント


  1. アジア太平洋地域の現代奴隷人口比率は世界で2番目の大きさ
  2. 現代奴隷の被害者は精神的にも身体的にも大きな負の影響を受ける
  3. この課題にアプローチする投資家イニシアチブの取り組みを紹介する

アジア太平洋地域は世界で2番目に現代奴隷の人口比率が高い地域です。現代奴隷とは、搾取状態にある強制労働、人身売買、児童労働などを強いられている状態を指します。人権課題の中でも、最も深刻なこの課題に取り組む投資家の動きを紹介します。(岸上 有沙)

「現代奴隷」。言葉としては法規制との関わりの中で聞くことは多少あったとしても、あまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。

幅広い「人権」課題の中で「現代奴隷」が何を指し、日本企業や投資家にどのように関係してくるのか。

今回は奴隷および人身売買の課題に取り組むアジア太平洋地域の投資家イニシアチブ、Investors Against Slavery and Trafficking Asia Pacific(IAST APAC)に各々の立場で関わる3人の方をお招きしました。現代奴隷の意味、法制化の流れ、投資家の取り組みに関して議論しました。

現代奴隷とは、幅広い人権課題の中でも、最も深刻な搾取状態にある、強制労働、人身売買、児童労働、また、旧来からの奴隷制やそれに近い条件を強いられている状態を指します。

他方、好ましくない労働条件、安価な労働など、他の労働基準法に触れるような状態は現代奴隷には含まれておりません。

現代奴隷とは
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岸上 有沙

2019年4月よりEn-CycleS (Engagement Cycle for Sustainability)という自らのイニシアチブの元、各種講演のほか、Responsible Investor でのコラム執筆、J-SIF運営委員、AIGCCワーキンググループ等を通じて、ESG投資やサステナビリティに関連した企業・投資家行動とグローバル発信の促進に携わる。2007年よりESGとサステナブル投資に従事し、ロンドンでの勤務を経て2015年より東京に異動。FTSE Russellのアジア環太平洋地域のESG責任者として、企業との対話(エンゲージメント)、ESGインデックスやレーティングの開発と管理、及び機関投資家のスチュワードシップ活動の実行に関するサポートを務めた。慶応義塾大学 総合政策学部卒、オックスフォード大学にてアフリカ学の修士号取得。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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