記事のポイント
- 国連の専門家グループは「ネット(実質)ゼロ」を掲げる際の条件を提言
- 環境に配慮しているようにごまかす「グリーンウォッシュ」を防ぐのが目的だ
- 化石燃料関連事業に投資を行っている場合、「ネットゼロ」とはいえない
国連の専門家グループは11月8日、企業や金融機関、自治体など非国家アクターに対して、温室効果ガス(GHG)の「ネット(実質)ゼロ」を掲げる際の基準を提言した。環境に配慮しているようにごまかす「グリーンウォッシュ」を防ぐためのもので、COP27で発表した。報告書では、化石燃料関連事業への投資や森林伐採にかかわっている場合、「ネットゼロ」とは主張できないとまとめた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、COP27で「化石燃料の拡大を隠蔽するための偽りの『ネットゼロ』は非難されるべきだ。『グリーンウォッシュ』は終わらせなければならない」と強調した。
今回の報告書について「信頼でき、説明責任のある『ネットゼロ』の誓約を実現するためのガイドになる。ネットゼロを掲げる企業や金融機関、自治体などは、遅くとも2023年に開かれるCOP28までに、基準に従って見直さなければならない」と話した。
国連の専門家グループがまとめた報告書によると、次に該当する場合、「グリーンウォッシュ」だとして「ネットゼロ」とは認めないとしている。
・化石燃料インフラを建設したり、投資を続けたりしている場合
・森林破壊や環境破壊に加担している場合
・バリューチェーン全体で自ら排出削減せずに、安価なカーボンクレジットを購入して相殺しようとした場合