サステナビリティ情報開示は「二刀流」で取り組め

記事のポイント


  1. 2023年3月期決算企業からサステナビリティ情報の開示が義務化される
  2. 上場企業等は有価証券報告書での開示(規定演技)が必要になる
  3. 独自の価値創造ストーリーの開示(自由演技)との「二刀流」で取り組もう

2023年3月期決算企業から有価証券報告書(以下、有報)の開示内容が拡充され、サステナビリティ情報の記載が義務化されます。対象は上場企業を中心に約4000社にのぼります。 その内の6割弱を占める3月期決算企業については6月末までに有報を提出する必要があり、早急な対応が迫られます。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

金融庁は1月31日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」を改正、即日施行しました。これにより、2023年3月期の有報からのサステナビリティ情報(気候変動、人的資本、多様性等)の記載義務化が確定しました。

サステナビリティ情報の記載欄として「サステナビリティに関する考え方及び取組」が新設されます。その中で「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4つの項目について記載が必要になります。(「ガバナンス」と「リスク管理」は必須、「戦略」と「指標及び目標」は重要性に応じた記載)

気候変動(重要な場合)については、例えば「戦略」では、2°C以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮して、企業戦略のレジリエンス(強靭性)を説明することが求められます。

人的資本については、「戦略」に人材育成方針と社内環境整備方針の記載が必要です。また、それらの方針に関わる指標の内容や当該指標による目標及び実績を「指標及び目標」に記載することが必須となります。

多様性については、女性活躍推進法など他の法律で開示している企業に限り、「従業員の状況」の欄で「女性管理職比率」「男性育児休業取得率」「男女間賃金格差」の数値の開示が義務付けられます。

「記述情報の開示の好事例集2022」での開示例

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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キーワード: #ESG

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